2026年7月22日に東証グロース市場へ上場した、ティアフォー(593A)。
自動運転関連の注目IPOとして話題になりましたが、調べてみると評価が大きく分かれている会社です。
「国産の自動運転技術を支える有望企業」という声がある一方で、
「ずっと赤字だけど大丈夫?」
「Autowareは無料のオープンソースでしょ?」
「本当に技術力があるなら、なぜトヨタが採用しないの?」
という厳しい意見もあります。
そこで今回は、ティアフォーが何を持っている会社なのか、技術力は本物なのか、そして投資先として利益を出せる会社になるのかを深掘りします。
まろぴー
「自動運転のすごい会社」と聞くだけじゃ、投資判断には足りないよね。
技術の強さと会社の利益は、分けて考えてみよう!
ティアフォーは何をしている会社?
ティアフォーは、自動運転システムの開発や導入支援を行う会社です。
その中心にあるのが、自動運転向けオープンソースソフトウェアの「Autoware(オートウェア)」です。
自動運転車は、単にAIがハンドルを動かしているわけではありません。
- カメラやLiDARなどで周囲を認識する
- 自車の位置を推定する
- 進行ルートを計画する
- 障害物を避ける
- 車両を安全に制御する
こうした複数の機能を連携させて、初めて車を自動で走らせられます。
Autowareは、この自動運転システムを構成するためのソフトウェア群です。
ティアフォーの創業者である加藤真平氏が開発を始め、現在は国際的なオープンソースプロジェクトとして育っています。
Autoware Foundationは、AutowareをROSを基盤とした自動運転向けオープンソースプロジェクトとして公開し、さまざまな車両や用途への商用展開を目指しています。
つまり、ティアフォーは「自動運転車そのものを大量生産する自動車メーカー」というより、自動運転を実現するための共通基盤をつくる会社に近い存在です。
【9月30日追記】レベル4自動運転向け「120度広角カメラ」を販売開始!
ティアフォー(593A)から、自動運転の社会実装に向けた新しい動きが出ました。
2026年9月30日、ティアフォーは自動運転レベル4に対応する車載カメラ「MPシリーズ」に、水平画角120度の広角モデル2機種を追加し、同日から販売を開始したと発表しました。
今回追加されたのは、
- C3カメラ:5.4MP
- C4カメラ:8.3MP
の2モデル。
これまでのMPシリーズより広い範囲を捉えられるようになり、自動運転車両の周辺認識能力を高める狙いがあります。
なぜ「120度広角」が重要なの?
自動運転では、車両の周囲にいる歩行者、自転車、他の車両、信号、標識などを正確に認識する必要があります。
特に交差点や市街地では、前方だけではなく左右から入ってくる対象物をいかに早く認識できるかが重要。
今回の広角モデルでは水平120度までカバーできるため、より広い範囲を1台のカメラで捉えられるようになります。
ティアフォーは新モデルについて、公共交通だけでなく、
物流・建設・農業
など、さまざまな環境で利用される自動運転システムへの搭載を想定しています。
ここは個人的にかなり気になるポイントです。
ティアフォーは「Autowareだけの会社」ではない
ティアフォーというと、オープンソースの自動運転OS「Autoware」のイメージが強い企業です。
ただ、上場後のティアフォーを見るうえでは、
Autowareを広める
↓
自動運転システムを構築する
↓
必要なハードウェアも提供する
↓
自動運転エコシステム全体から収益を得る
という流れが重要になってきます。
今回のMPシリーズも、その戦略を考えるうえで見逃せない製品です。
ソフトウェアだけでなく、実際の自動運転車両に搭載されるカメラまで自社ブランドで展開する。
自動運転の普及台数が増えていけば、こうした周辺製品の販売機会も増えていく可能性があります。
アイサンテクノロジーとの関係にも注目
さらにMPシリーズは、ティアフォーだけで販売しているわけではありません。
2026年5月から、アイサンテクノロジー(4667)が国内販売を開始しています。
ティアフォーの自動運転技術が普及していけば、
ティアフォー
→ 自動運転システム・Autoware・車載機器
だけでなく、
アイサンテクノロジー
→ 自動運転関連製品の販売・社会実装
という形で関連企業にもビジネスチャンスが広がります。
自動運転テーマを見るなら、ティアフォー単体ではなく周辺企業まで追いかけておきたいところです。
まろぴーが注目するのは「社会実装=売上」に変えられるか
ティアフォー最大のテーマは、やっぱりここ。
技術力が高いことと、株主に利益をもたらす会社になることは別問題です。
以前の記事でも触れた通り、ティアフォーは研究開発への投資負担が大きく、今後は自動運転の社会実装をどれだけ売上・利益へ変えていけるかが重要になります。
だから今回も、
「新しいカメラが出た!すごい!」
だけではなく、
実際に何台へ搭載されるのか?
MPシリーズの販売がどこまで伸びるのか?
Autowareの普及がハードウェア売上にもつながるのか?
ここまで追いかけたい。
レベル4自動運転が実証実験から本格導入へ進めば、ティアフォーにとって「技術を磨くフェーズ」から「技術を収益化するフェーズ」への転換点になる可能性があります。
今回の120度広角カメラも小さな新製品ニュースに見えますが、ティアフォーの収益化を追ううえではチェックしておきたい材料です🚗📈
↑ここまで9/30追記記事
↓ここから元記事
Autowareがオープンソースなのは弱点?
ここで気になるのが、Autowareがオープンソースであることです。
ソフトウェアの中身が公開され、原則として誰でも利用や改良ができるなら、
「どうやってティアフォーは稼ぐの?」
と思いますよね。
確かに、Autowareが広く使われても、利用者全員がティアフォーへ料金を支払うわけではありません。
ティアフォーは主に次のような領域で収益化を目指しています。
| 事業 | 主な内容 |
|---|---|
| モビリティサービス | 自動運転バスやシャトルなどの導入・運行支援 |
| デベロップメントサービス | 自動車メーカーや開発企業向けの共同開発 |
| ソリューションサービス | ソフトウェア、車両キット、ライセンス、技術支援など |
たとえば、Linux自体はオープンソースですが、導入支援や保守、クラウドサービスなどで収益を上げる会社があります。
ティアフォーも同様に、基盤となるソフトウェアを普及させ、その周辺にある車両開発、システム統合、運行支援などで稼ぐ戦略です。
オープンソースには、世界中の企業や開発者を巻き込みやすいという強みがあります。
一方で、Autowareが普及したからといって、それがそのままティアフォーの売上になるわけではありません。
ここは投資家として、かなり重要なポイントです。
まろぴー
Autowareが世界中で使われることと、ティアフォーが儲かることはイコールじゃないんだね。
「普及」をどう「利益」に変えるかが勝負!
ティアフォーの技術力は本物なのか
少なくとも、ティアフォーを「名前だけの自動運転会社」と見るのは違うと思います。
Autowareは、自動運転分野における有力なオープンソース基盤のひとつとして、国際的な開発コミュニティを形成しています。
また、日本政府は自動運転を、運転手不足や地域交通の維持といった社会課題を解決する手段として推進しています。
経済産業省もティアフォーのAIを活用した自動運転技術を取り上げており、2026年3月にはAIを活用した新しい自動運転用ソフトウェアスタックが発表されました。
ティアフォーは、研究室の中だけで技術を開発している会社でもありません。
地方自治体や交通事業者と連携し、自動運転バスやシャトルなどの実証・導入を進めています。
政府は2030年度までに、自動運転車両を全国で1万台規模へ拡大する目標を掲げています。
これに対してティアフォーは、2030年9月までに1,800台超の運行車両を目指しています。
実現すれば、国内の自動運転普及において無視できないポジションになります。
ただし、実証実験を行えることと、安全性・コスト・保守体制を含めて全国へ量産展開できることは別です。
ティアフォーの技術が本当に事業として強いかどうかは、実証実験の数だけでなく、実際に運行する車両をどれだけ継続的に増やせるかで判断する必要があります。
「トヨタが採用しないから技術が遅れている」は本当?
ティアフォーについて調べると、
「本当に優れた技術なら、トヨタが採用するはず」
「トヨタが使っていないなら、技術的に遅れているのでは?」
という意見を見かけます。
しかし、これは少し単純化しすぎだと思います。
現時点で、トヨタの量産乗用車にティアフォーの自動運転システムが中核技術として採用された、という公式発表は確認できません。
だからといって、それだけでティアフォーの技術が劣っているとは判断できません。
トヨタのような巨大自動車メーカーは、安全性に直結する制御システムを自社や系列企業、長年取引してきた部品メーカーと開発しています。
自動運転ソフトウェアも、完成した外部製品をそのまま採用するとは限りません。
また、Autowareはオープンソースです。
自動車メーカーがAutowareの一部や、そこから得られた知見を利用したとしても、ティアフォーのシステムを丸ごと購入するとは限らないのです。
そして、ティアフォーが現在狙っている市場は、一般消費者向けの量産乗用車だけではありません。
- 路線バス
- 地域交通
- 空港や工場内の移動
- 物流車両
- 特定区域を走るシャトル
- 自動車メーカーの開発支援
こうした用途は、走行エリアや条件を限定しやすく、完全自動運転の実用化を進めやすい領域です。
そのため、
「トヨタが量産車に採用していない」
=「ティアフォーの技術が使えない」
とは言えません。
ただし、トヨタをはじめとする大手メーカーの量産案件に深く入り込めていないとすれば、将来的な売上規模や信用力の面では課題になります。
つまり、トヨタに採用されていないことは技術力を否定する決定打ではありませんが、投資家が大型採用案件の有無を確認することには意味があります。
売上は伸びているが、赤字も巨大
次に、ティアフォーの業績を見てみます。
2026年9月期の第3四半期累計では、売上収益が前年同期比30.0%増の約51.8億円となりました。
自動運転関連の開発案件や導入が進み、売上自体は順調に拡大しています。
一方、営業損失は約68.3億円でした。
売上を上回る営業赤字が発生しています。
会社が公表している2026年9月期の通期予想は次のとおりです。
| 項目 | 2026年9月期予想 |
|---|---|
| 売上収益 | 約84.8億円 |
| 営業損失 | 約112.4億円 |
| 税引前に近い経常損失 | 約65.9億円 |
| 最終損失 | 約67.4億円 |
売上は前期比32.4%増を見込む一方、営業赤字は前期より拡大する予想です。
なぜ、これほど赤字が大きいのでしょうか。
最大の理由は研究開発費です。
第3四半期累計の研究開発費は約59.9億円に達しています。
ティアフォーは、現在の売上規模に対して非常に大きな先行投資を続けている会社なのです。
自動運転は、ソフトウェアを一度完成させれば終わりという分野ではありません。
車両、センサー、地図、AI、安全検証など、多くの領域へ継続的な投資が必要です。
そのため、現時点のティアフォーを通常の利益水準やPERで評価するのは困難です。
営業赤字より経常赤字が小さい理由
ティアフォーの決算を見ると、営業損失に比べて経常段階の損失が小さくなっています。
これは補助金収入などが計上されているためです。
第3四半期累計では、約36.6億円の補助金収入がありました。
自動運転は、過疎地域の交通維持や運転手不足への対応など、国の政策と結びついた分野です。
そのため、国や自治体から支援を受けながら開発や導入が進められています。
補助金を受けられること自体は、ティアフォーの技術や事業が国の政策に合っている証拠とも考えられます。
しかし、補助金がなければ大きな営業赤字が残る状態であることも事実です。
投資家としては、
「補助金を獲得できるか」
だけでなく、
「補助金がなくても継続的に利益を出せる事業へ成長できるか」
を見なければいけません。
ティアフォーはどうやって黒字化するのか
黒字化へのポイントは、運行車両数と継続収益です。
現在は、自動運転システムの開発に多額の費用をかけながら、地域ごと、車両ごとに導入を進めています。
この段階では、売上が増えても開発費や人件費が重く、利益が出にくい構造です。
しかし、共通化された自動運転システムを多数の車両へ展開できれば、1台当たりの開発負担を下げられる可能性があります。
さらに、車両導入時の一時的な売上だけでなく、
- ソフトウェア利用料
- 運行管理料
- 保守・更新料
- データ関連サービス
- 継続的な技術サポート
といった収益を積み上げられれば、利益率は改善しやすくなります。
ティアフォー自身も、運行車両数の拡大と研究開発費のコントロールによる早期黒字化を目指しています。
ただし、2030年9月までに1,800台超という目標はかなり大きなものです。
車両を準備するだけでなく、安全確認、法規制、運転手や遠隔監視員の配置、自治体との調整なども必要になります。
目標を掲げたことより、今後どの程度のペースで有償運行車両が増えていくかが重要です。
ティアフォーの強み
ティアフォーの強みとして考えられるのは、次の4点です。
1.Autowareを中心とした開発基盤
自動運転システムをゼロから開発するには、莫大な費用と時間が必要です。
Autowareを共通基盤として利用できれば、新規参入企業や研究機関、自治体などが自動運転開発を始めやすくなります。
この開発者ネットワークは、ティアフォーにとって大きな資産です。
2.政府の政策と事業の方向性が合っている
地方ではバスやタクシーの運転手不足が深刻になっています。
自動運転は単なる未来技術ではなく、地域交通を維持するために必要とされる可能性があります。
政府の1万台構想が進めば、ティアフォーにとって追い風になります。
3.乗用車以外にも活用先がある
一般道を自由に走る完全自動運転車は、技術面でも法制度面でも難易度が高い分野です。
一方、ルートや走行区域を限定したバス、シャトル、物流車両などは、比較的導入を進めやすいと考えられます。
ティアフォーは、この現実的な市場から普及を目指しています。
4.売上が高い成長率を維持している
赤字ばかりに目が向きますが、売上は年30%前後の成長を続けています。
開発案件だけでなく、運行車両や継続収益が増えてくれば、事業構造が変わる可能性があります。
投資するうえでのリスク
一方、リスクもかなり大きい会社です。
1.黒字化までの距離が遠い
売上約85億円に対して営業赤字約112億円という予想は、通常の成長企業と比べても非常に重い数字です。
売上が伸びても、それ以上に費用が増える状態が続けば、黒字化は遠のきます。
2.追加の資金調達と株式希薄化
研究開発や事業拡大に多額の資金が必要なため、将来的に追加の資金調達が行われる可能性があります。
増資が実施されれば、既存株主の持分が希薄化するリスクがあります。
3.大手企業との競争
自動運転には、自動車メーカー、部品メーカー、半導体企業、海外IT企業など、多数の巨大企業が参入しています。
オープンソースとしてAutowareが普及しても、収益性の高い部分を別の企業に取られる可能性があります。
4.事故や規制変更のリスク
自動運転車で重大事故が発生すれば、ティアフォー自身に原因がなくても、市場全体の導入スピードが落ちる可能性があります。
安全性への要求が高まれば、開発費や運行コストも増加します。
5.補助金への依存
政策支援は追い風ですが、補助金を前提とした事業構造が長く続くとは限りません。
最終的には、交通事業者や自治体が補助金なしでも導入できる価格に近づける必要があります。
ティアフォーは「技術株」ではなく「社会実装株」
ティアフォーを見るとき、AIや自動運転という言葉だけに注目すると、判断を誤る可能性があります。
この会社の本当の勝負は、最先端の技術を発表することではありません。
Autowareを使った自動運転車を、現実の道路で安全かつ継続的に運行し、その対価として利益を得られるかどうかです。
つまり、ティアフォーは単なる技術株というより、「自動運転を社会へ実装できるか」に投資する会社だと思います。
技術基盤と政策的な追い風はあります。
一方で、収益モデルはまだ完成しておらず、巨額の研究開発費を回収できるかは分かりません。
まとめ|技術は侮れないが、投資判断は収益化を確認してから
ティアフォーについて調べた結論をまとめます。
- Autowareを中心とした技術基盤と開発者ネットワークは強み
- 実証実験だけでなく、地域交通などで社会実装を進めている
- トヨタの量産車に採用されていないことだけで、技術力が低いとは判断できない
- Autowareの普及が、そのままティアフォーの利益になるわけではない
- 売上は伸びているが、研究開発費が重く、巨額赤字が続いている
- 投資判断では、有償運行車両数と継続収益の増加が重要
ティアフォーの技術を「大したことがない」と切り捨てるのは早いと思います。
ただし、技術が本物であることと、株主が利益を得られることも別です。
今後確認したいのは、実証実験の件数よりも、
「実際に料金を得ながら運行する車両が何台あるのか」
「1台当たり、どの程度の継続収益が生まれるのか」
「研究開発費の増加を抑えながら売上を伸ばせるのか」
という部分です。
まろぴー
技術への期待だけで飛びつくには、まだ赤字が大きすぎるかも。
でも、自動運転の社会実装が本格化したとき、中心にいる可能性もある会社だね!
ティアフォーは、将来性と不確実性の両方が非常に大きい銘柄です。
今すぐ利益を求める会社ではなく、運行台数の拡大と収益化への道筋を、決算ごとに追いかけたい企業だと思います。
主な参考資料
※本記事は公開資料をもとにした情報提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。



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