PER11倍の化学株、実は中身が激変?トクヤマは「半導体材料会社」へ変われるか

企業深掘

こんにちは、まろぴーです🌸

今回気になったのは、トクヤマ(4043)。

名前だけ聞くと、

「化学メーカーだよね?」
「セメントもやってる会社でしょ?」

という印象が強いかもしれません。

まろぴーも最初はそんな感じでした🐰

ところが中身を掘ってみると、かなり面白い。

現在のトクヤマには、

高純度多結晶シリコン
高純度IPA
シリカ
窒化アルミニウム

といった、半導体製造を支える材料がズラリ。

しかも会社は今後5年間で、

化成品・セメント中心の会社

から、

電子先端材料・ライフサイエンス中心の会社

へ、本気で事業構造を変えようとしています。

会社自身も、化成品・セメントの国内市場について「既にピークアウト」と認識しています。トクヤマ

そして2030年度に会社が掲げる目標は、

営業利益570億円。

その中でも電子先端材料は、

営業利益157億円 → 371億円

というかなり大きな成長を狙っています。トクヤマ

🐰「え、これもう“セメントもやってる化学会社”として見てたらダメなんじゃ……?」

ということで今回は、

トクヤマは本当に「半導体材料会社」へ変われるのか?

ここを徹底的に掘っていきます🔍✨


まずトクヤマって何の会社?

トクヤマは1918年創業の総合化学メーカーです。

現在の事業は大きく、

化成品
セメント
電子先端材料
ライフサイエンス
環境

などに分かれています。

化成品では苛性ソーダや塩化カルシウムなど。

セメントではその名の通りセメント関連。

ライフサイエンスでは歯科器材など。

そして今回一番重要なのが、

電子先端材料

です。

トクヤマの電子先端材料には、

高純度多結晶シリコン
高純度IPA
乾式シリカ
窒化アルミニウム

などがあります。

高純度多結晶シリコンは半導体ウエハーの原料。

高純度IPAは半導体製造工程の洗浄・乾燥。

窒化アルミニウムは高い熱伝導性を持つ放熱材料。

つまりトクヤマは、

半導体そのものを作る会社ではなく、半導体を作るために必要な材料を供給する会社

なんです。トクヤマ

半導体そのものについて整理したい方はこちら👇

いまさら聞けないキオクシア|何がすごい?技術力・AI需要・利益の持続性まで深掘り


電子先端材料の売上比率は約26%

では、トクヤマはどれくらい半導体関連の会社なのでしょうか。

2026年3月期の電子先端材料は、

売上高 約917億円
営業利益 約157億円

でした。

全社売上に占める比率はおよそ、

約26%

です。

ただし注意。

電子先端材料には半導体以外の用途も含まれるため、

「トクヤマの売上の26%がすべて半導体」

という意味ではありません。

ここは「電子先端材料比率」として見るのが正確です。

でも面白いのは利益。

電子先端材料の営業利益率は約、

17.1%

あります。

全社より高収益。

つまり、

売上では約4分の1

なのに、

利益への貢献度はそれ以上

という事業になっています。


しかも電子先端材料の利益が急成長

2026年3月期の電子先端材料営業利益は、

約157億円

まで拡大しました。

ここで大事なのは、

「半導体関連商品を一つだけ持っている」

わけではないこと。

トクヤマには、

半導体の原料
→ 多結晶シリコン

製造工程の洗浄
→ 高純度IPA

半導体製造装置・放熱
→ AlN

CMPや高機能材料
→ シリカ

という複数の入口があります。

AI半導体でパッケージ基板需要が拡大しているイビデン(4062)の記事でも見たように、AI半導体市場の拡大はGPUメーカーだけの話ではありません。

材料・基板・製造装置・電力・冷却。

いろいろな「黒子」が必要になります。

トクヤマもその一社です。


ところが今期1Qの進捗率は悪い

ここで、

🐰「そんなに良いなら決算も絶好調なの?」

と思いますよね。

実はそうでもありません。

2027年3月期1Qの営業利益は約61億円。

通期計画340億円に対する進捗率は、

約18%

程度。

数字だけ見ると、

「あれ?進捗悪くない?」

となります。

でもセグメント別に見ると景色が変わります。

電子先端材料は1Qでも増益。

ライフサイエンスも伸びています。

一方で大きく利益を落としたのが、

化成品。

苛性ソーダや塩ビ関連などの収益悪化が全社利益を押し下げました。

つまり今回の1Qは、

半導体材料が失速して全社進捗が悪い

という決算ではありません。

むしろ、

成長事業は伸びているけれど、従来事業が重い。

ここはかなり重要です。


化成品はこれから落ち目なの?

ここも調べました。

結論としては、

「なくなる事業」ではないけれど、会社が成長エンジンとして期待している事業でもない

という位置づけが近そうです。

トクヤマ自身、

化成品・セメントの国内市場は既にピークアウト

と認識しています。トクヤマ

だから化成品で狙うのは急成長ではなく、

安定生産
合理化
価格転嫁
競争力維持

など。

イメージとしては、

化成品=土台

電子先端材料・ライフサイエンス=成長エンジン

です。


そしてセメントも縮小へ

さらに大きな変化がセメント。

トクヤマは事業ポートフォリオの転換を進めています。

ここが今回のトクヤマを見るうえで重要。

昔ながらの、

化成品+セメント+電子材料

という複合化学メーカーから、

電子先端材料+ライフサイエンス

の比重を高めようとしている。

これは単に、

「半導体材料もやってます!」

という話ではありません。

会社の利益構成そのものを変えようとしている。

ここが今回一番面白いところです。


2030年、電子先端材料の利益を371億円へ

そして中期経営計画2030。

ここから数字が一気に面白くなります👀

会社が掲げる2030年度の電子先端材料は、

売上高 1,754億円

営業利益 371億円

です。トクヤマ

2025年度実績と比べると、

売上
917億円
↓
1,754億円

約1.9倍。

そして、

営業利益
157億円
↓
371億円

約2.4倍。

売上以上に利益を伸ばす計画です。

営業利益率も、

約17% → 約21%

へ上昇する計算。

つまり会社が狙っているのは、

半導体材料をたくさん売る

だけではなく、

高付加価値製品を増やして利益率まで上げる

ことです。


では371億円を何で稼ぐ?

ここをさらに分解してみます。

主役候補は大きく、

高純度IPA

AlN(窒化アルミニウム)

高純度多結晶シリコン

シリカ

です。

この4つが全部違う場所で半導体につながっています。


① 高純度IPA

まず注目したいのが、

高純度IPA。

半導体製造ではウエハーを何度も洗浄します。

しかも半導体が微細化すればするほど、

「ちょっと汚れててもいいよ」

なんて世界ではなくなる。

極めて高い純度が要求されます。

そこで使われるのがトクヤマの高純度IPA。

しかもトクヤマは国内だけでなく、

台湾・韓国など半導体製造の中心地

で供給体制を拡大しています。

半導体の微細化・積層化が進むほど、

洗浄工程の品質要求も上がる

というのが面白いポイント。


② AlNは「AIの熱」に効く

まろぴーが今回特に気になったのが、

窒化アルミニウム(AlN)

です。

AlNは熱伝導性に優れた材料。

半導体製造装置向けだけでなく、放熱用途での拡大が期待されています。

そしてAI半導体で大問題になっているのが、

熱🔥

GPUの性能が上がる。

↓

消費電力が増える。

↓

発熱量が増える。

↓

冷却・放熱が重要になる。

以前の記事でも、

GPUを冷やす「知られざる3社」!AI液冷で伸びる日本株を発掘

として、AIサーバーの液冷を調べました。

さらに、

AI液冷の「次」に伸びる?JX金属の隠れAI事業「漏水検知」が30%増産へ

では、液冷の周辺部品まで追いかけました。

トクヤマのAlNは少し違う角度から、

「半導体の熱をどう逃がすか」

というテーマにつながっています。

AI半導体の高性能化が続けば、

「演算能力」だけでなく、

熱対策そのものが巨大市場になる可能性

があります。


③ 高純度多結晶シリコン

これは半導体のかなり上流。

トクヤマの高純度多結晶シリコンは、

99.999999999%

という極めて高い純度を特徴としています。トクヤマ

これがシリコンウエハーの原料になります。

つまり、

トクヤマ
↓
高純度多結晶シリコン
↓
シリコンウエハー
↓
半導体製造
↓
CPU・GPU・メモリなど

というかなり源流側。

キオクシアのような半導体メーカーを掘っていると、どうしても完成した半導体側に目が行きます。

でもさらに上流へ行くと、

半導体を作るための材料メーカー

が出てくるわけです。


④ シリカも高機能化

シリカも面白い。

CMP用途などに加えて、高機能半導体材料としての展開が期待されています。

AI半導体では、

微細化

だけではなく、

先端パッケージ

も重要。

このあたりは、

TOPPANは印刷会社じゃない?AI半導体「FC-BGA」でイビデンを追う隠れ本命を徹底解説

でも取り上げました。

GPUだけ見ていると見えませんが、

AI半導体の裏側には、

材料 → 製造 → パッケージ → 電力 → 冷却

という巨大なサプライチェーンがあります。


トクヤマの強みは「半導体が増える」だけじゃない

ここまで調べて、まろぴーが一番面白いと思ったのがここ🌸

トクヤマの成長ストーリーは、

半導体の生産量が増える

だけではありません。

半導体が、

より微細になる

より積層される

より高性能になる

より熱くなる

ことで、

高純度材料や放熱材料への要求そのものが高まる。

つまり、

半導体の「量」と「高度化」の両方を取りにいく。

この構造です。


AIデータセンターまでつながってくる

AI半導体が増えれば、それを載せるサーバーも増えます。

そしてデータセンターには、

半導体

だけでなく、

電力設備

冷却設備

通信設備

まで必要。

この流れについては、

AI電力インフラ3社を徹底比較!富士電機・三菱電機・明電舎、データセンター特需が大きいのは?

でも深掘りしています。

トクヤマはデータセンター設備そのものを作る会社ではありません。

でも、

AI投資
↓
高性能GPU増加
↓
先端半導体需要増加
↓
製造工程高度化
↓
高純度材料・放熱材料需要

という形でつながります。


2030年の利益構成がかなり変わる

中計2030を見ると、会社が何をしたいのかはさらに明確。

ざっくり整理すると、

セグメント2025年度実績2030年度計画
電子先端材料約157億円371億円
ライフサイエンス約78億円166億円
化成品約97億円101億円
環境約7億円8億円
セメント・その他約116億円▲19億円

これを見ると一目瞭然。

化成品は、

97億 → 101億円

ほぼ横ばい。

一方、

電子先端材料は、

157億 → 371億円。

ライフサイエンスも、

78億 → 166億円。

つまりトクヤマは、

既存事業を全部成長させて570億円を目指す

わけではありません。

古い収益構造を縮小しながら、成長事業へ利益を移す。

かなり大胆な計画です。


全社営業利益は370億円→570億円へ

会社全体では、

2025年度 約370億円

から、

2030年度 570億円

を目指します。トクヤマ

増加額は約200億円。

ところが電子先端材料だけで、

+214億円

増やす計画。

つまり全社の利益成長を、

ほぼ電子先端材料が引っ張る

と言ってもいいくらい。

これがトクヤマを見るうえで最重要ポイントだと思います。


ただし371億円はかなり高いハードル

ここで冷静になりましょう🐰

157億円から371億円。

約2.4倍です。

当然簡単ではありません。

特に注意したいのが、

半導体市況

AI投資

新工場の立ち上がり

稼働率

顧客認定

海外投資

など。

トクヤマ自身も中計で市場環境の変化をリスクとして見ています。トクヤマ

だから、

「2030年に371億円になるらしい!」

だけで判断するのは危険。

これから毎決算、

本当に371億円へ近づいているのか

を確認する必要があります。


では現在株価はどこまで成長を織り込んでいる?

ここで最後に簡単なシナリオを作ってみます。

会社の中計では2030年度に、

EPS551円

を目標としています。トクヤマ

今回確認した株価4,223円を固定して考えると、

ケース① 成長がほぼ止まる

EPSを約310円と仮定。

4,223 ÷ 310

=

PER約13.6倍

このケースなら、

「今めちゃくちゃ割安!」

とは言いにくくなります。


ケース② 中計の利益成長を7割程度実現

現在のEPS約309円から、中計目標551円への増加分の70%を実現すると仮定。

EPSはざっくり、

約478円

4,223 ÷ 478

=

PER約8.8倍

になります。

これは会社予想ではなく、あくまでまろぴーのシナリオ試算です。


ケース③ 中計を達成

会社目標、

EPS551円

を達成した場合。

4,223 ÷ 551

=

PER約7.7倍

です。

そして単純計算で、

PER10倍なら5,510円

PER12倍なら6,612円

PER15倍なら8,265円

となります。

もちろんこれは将来株価の予想ではありません。

2030年度に本当にEPS551円を達成した場合、それぞれのPERを当てはめるとどう見えるか、という機械的な計算です。


だから「PER11倍だから安い」ではない

ここが今回の結論。

トクヤマを、

「PER11倍の割安半導体株!」

だけで見るのは少し違うと思います。

現在の評価が低めなのには理由があります。

化成品は国内市場が成熟。

セメントも縮小。

半導体市況には波がある。

海外投資にもリスクがある。

そして2030年度の電子先端材料営業利益371億円は、まだ実績ではなく計画。

一方で、

電子先端材料157億 → 371億円

全社営業利益370億 → 570億円

EPS309円 → 551円

という変化を本当に実現できれば、

今とはかなり違う会社になります。


今後の決算で見る数字はこれ

まろぴーなら今後は特に、

① 電子先端材料の売上高

② 電子先端材料の営業利益

③ 電子先端材料の営業利益率

④ 高純度IPAの海外設備稼働

⑤ AlNなど放熱材の販売

⑥ 多結晶シリコンの採算

⑦ 化成品の利益悪化が止まるか

⑧ 2030年度371億円への進捗

を追います👀

特に重要なのは、

「売上」より「利益率」。

電子先端材料が増えても利益率が上がらなければ、中計の371億円には届きません。

逆に売上成長+利益率上昇が同時に見えてくれば、中計の説得力はかなり増してきます。


🌸まろぴーまとめ

最初は、

🐰「PER11倍くらいで半導体材料やってるなら面白いかも?」

くらいから調べ始めたトクヤマ。

でも掘ってみると、テーマはもっと大きかった。

化成品・セメント中心の昔ながらの化学メーカー

から、

電子先端材料・ライフサイエンス中心の高付加価値材料メーカー

への転換です。

特に電子先端材料は、

高純度多結晶シリコン

高純度IPA

AlN放熱材

シリカ

と、半導体のかなり重要な場所に入り込んでいます。

そして2030年度には、

電子先端材料営業利益371億円。

現在の約157億円から2倍以上です。

ただし今期1Qの全社進捗は決して強くありません。

だからこそ、

「中計達成を前提に見る」のではなく、「四半期ごとに変身が進んでいるか確認する」

銘柄として追いかけたいところ。

AI半導体の世界では、イビデンやTOPPANのようなパッケージ基板だけでなく、トクヤマのようなさらに上流の材料メーカーにも面白い会社があります。

イビデンのAI半導体・パッケージ基板を深掘り

TOPPANのFC-BGA事業を深掘り

キオクシアのAI・NAND需要を深掘り

AI液冷で伸びる日本株を深掘り

半導体の「主役」だけではなく、

材料 → 基板 → 半導体 → 電力 → 冷却

までつなげて見ていくと、AI投資の景色がだいぶ変わって見えてきます🌸

※本記事は2026年9月27日時点の公開情報をもとに作成しています。記事中の将来PER・株価水準は一定の仮定に基づく単純試算であり、将来の株価を予測するものではありません。特定銘柄の売買を推奨するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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