2026年9月14日、Terra Drone(テラドローン・278A)が2027年1月期第2四半期決算を発表しました。
最初に決算数字だけを見ると、
「売上は伸びたけど、赤字も広がってる……」
という、ちょっと不安になる内容です。
でも、資料を最後まで読むと印象が変わります。
今回の主役は、現在の利益ではなく、下半期から売上計上が始まる防衛事業でした。
しかも会社側は、防衛事業が現在の業績予想に織り込まれていないことを明らかにしたうえで、
「通期の連結業績は期初想定より上振れる見通し」
と説明しています。
今回の決算は本当に悪いのか。それとも、将来への期待がさらに高まる内容なのか。
まろぴーと一緒に、重要ポイントを整理していきます。
テラドローンの2027年1月期第2四半期決算
まずは連結業績です。
| 項目 | 2026年1月期2Q | 2027年1月期2Q | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 19.43億円 | 22.35億円 | +2.92億円 |
| 売上総利益 | 8.36億円 | 10.09億円 | +1.73億円 |
| 営業利益 | ▲6.66億円 | ▲8.19億円 | 1.53億円悪化 |
| 経常利益 | ▲5.41億円 | ▲6.95億円 | 1.55億円悪化 |
| 親会社株主に帰属する純利益 | ▲3.94億円 | ▲6.80億円 | 2.86億円悪化 |
売上高は前年同期比で約15%増加。
売上総利益も約21%増えているため、本業の売上や粗利益が崩れているわけではありません。
一方、営業損失は6.66億円から8.19億円へ拡大しました。
防衛事業、サウジアラビア、点検用ドローンなど、今後の成長に向けた人員・事業体制の拡大によって販管費が増えたことが主な理由です。
会社側は、この赤字拡大について「期初の想定通り」と説明しています。
🐥まろぴーのひとこと
「赤字が増えた!」だけを見ると怖いけど、売上総利益はしっかり増えてるよ。
今は防衛やUTMを伸ばすために、先にお金を使っている段階なんだね。
ドローンソリューション事業は全分野で増収
主力のドローンソリューション事業は、売上高が前年同期の17.91億円から19.06億円へ増加しました。
営業損失は2.94億円から4.44億円へ拡大していますが、測量・点検・農業の全分野で売上が増えています。
| 事業 | 売上高 | 前年同期比 | 売上総利益率 |
|---|---|---|---|
| 測量・災害復旧 | 11.94億円 | +0.17億円 | 49% |
| 点検 | 3.39億円 | +0.64億円 | 52% |
| 農業 | 3.72億円 | +0.35億円 | 33% |
| 合計 | 19.06億円 | +1.16億円 | 47% |
特に改善が目立ったのが農業事業です。
農業事業の売上総利益は前年同期の0.26億円から1.24億円へ増加。売上総利益率も8%から33%へ大きく改善しました。
第1四半期時点では前年割れでしたが、大型案件の受注とコスト管理によって、第2四半期累計では増収に転換しています。
点検事業では、自社開発の屋内点検ドローン「Terra Xross 1」などのハードウェア売上が、0.15億円から0.64億円へ拡大しました。
下半期は上半期以上の販売台数を見込んでいます。
一方、サウジアラビア事業は、中東情勢の影響によってドローンの飛行承認が遅れ、売上高が前年同期の1.68億円から1.07億円へ減少しました。
年間約4億円の石油・ガスパイプライン監視案件は今後開始される予定ですが、海外案件特有の遅延リスクには注意が必要です。
UTM事業は売上高が2倍以上に成長
ドローンの運航管理を行うUTM事業は、売上高が前年同期の1.51億円から3.28億円へ拡大しました。
2倍を超える増収です。
| 項目 | 2026年1月期2Q | 2027年1月期2Q |
|---|---|---|
| 売上高 | 1.51億円 | 3.28億円 |
| 営業利益 | ▲3.71億円 | ▲3.74億円 |
| 調整後営業利益 | ▲2.11億円 | ▲3.37億円 |
営業損失はほぼ横ばいですが、前年より国内UTM関連の補助金収入が減ったため、補助金を加えた調整後営業損失は拡大しています。
注目したいのは、子会社Uniflyがベルギー国防省から受注した軍管轄空域向けUTMです。
受注金額は約2億700万円、契約期間は21カ月。
会社によると、国防軍向けUTMの受注は世界初です。
防衛用ドローンの配備が増えるほど、軍が管理する空域でも衝突を防ぎ、安全に飛行させる仕組みが必要になります。
テラドローンは民間向けUTMで培った技術を、防衛空域にも横展開しようとしています。
UTMは、一度導入されると別システムへの変更が難しく、継続的な運用収入も期待できる事業です。
今回のベルギーでの実績をほかの国へ展開できれば、単発の機体販売とは違う、継続収益の柱になる可能性があります。
最大の注目は「防衛事業が業績予想に入っていない」こと
今回の決算で最も重要なのは、ここです。
テラドローンは、防衛事業の売上高を現在の通期業績予想に織り込んでいません。
しかし、防衛事業の売上計上は第3四半期から始まる見込みです。
会社側は決算資料で、
「防衛事業の売上高計上も3Qから発生し、それに伴い通期の連結業績は期初想定より上振れる見通し」
と説明しました。
正式な業績予想の上方修正ではありませんが、会社自身が上振れの見通しを示した点は強い材料です。
ただし、テラドローンは案件の納入・検収時期によって四半期業績が大きく変動する会社です。
第2四半期までの数字が弱く見える一方、売上計上が第3・第4四半期へ偏る計画になっています。
つまり、下半期に本当に予定どおり案件を売上へ変えられるかが、今回の決算評価を決めます。
38社の中で唯一、迎撃ドローンの量産調達契約を獲得
防衛事業では、迎撃ドローンが中心製品になっています。
防衛装備庁が実施した「迎撃ドローン早期取得プログラム」には38社が応募。
そのうち4社の機体が実証試験へ進み、最終的にテラドローンの「Terra B1」だけが試験を通過して量産調達契約を締結しました。
他の3社は海外メーカー製品だったため、テラドローンは国内で唯一、量産調達契約を獲得した迎撃ドローンメーカーとなります。
迎撃ドローンは、飛来する攻撃用ドローンに接近して迎撃するための機体です。
ミサイルより安価で、大量配備しやすいことが特徴です。
また、迎撃ドローンそのものが消耗品となるため、一度採用されれば継続的な需要が発生する可能性があります。
テラドローンは、
- ウクライナでの実戦使用実績
- 自律航行技術
- 大量配備を想定した価格競争力
- 国内での供給能力
を競争力として挙げています。
国内での採用実績は、海外展開でも製品の信頼性を示す材料になります。
1,767機の大型案件はまだ「受注」ではない
もうひとつ注目されるのが、モジュール型UAVです。
テラドローンは2026年5月、防衛装備庁から教育用のモジュール型UAVを300機、約1.15億円で受注しました。
納期は2026年9月末です。
さらに、実際の配備に使われる同型ドローン1,767機についても、2026年10月上旬に入札が行われる予定です。
ここは誤解しやすいポイントですが、1,767機はまだ受注したわけではありません。
テラドローンが継続案件として獲得を目指している段階です。
ただし、先行する教育用300機を受注していることは有利に働く可能性があります。
実配備用は教育用より高い機能が求められるため、1機当たりの単価も教育用より高くなる見込みです。
この入札結果は、今後の防衛事業を左右する大きな材料になりそうです。
防衛事業は海外でも拡大
防衛事業は日本国内だけではありません。
すでに複数地域で展開が始まっています。
- UAE:防衛大手EDGEグループから迎撃ドローンを含む防衛アプリケーションを受注
- マレーシア:防衛企業DEFTECHと戦略的協業を開始
- ベルギー:国防省から軍管轄空域向けUTMを受注
- ウクライナ:グループ会社を通じて実戦環境での使用実績を保有
日本政府が同志国へ防衛装備品などを供与するOSAの予算も、2023年度の20億円から2026年度には181億円へ拡大しています。
テラドローンは、国産ドローンをOSA対象国へ展開することも狙っています。
機体だけでなく、その機体を安全に飛行させるUTMまで持っていることが、テラドローンの大きな特徴です。
約120億円の資金調達が完了
テラドローンは新株予約権を通じて、最大約145億円を調達する計画です。
株価上昇によってステージ1から4までの行使が完了し、すでに約120億円を調達しました。
当初予定していた防衛事業への充当額65億円を大きく上回っています。
残っているのはステージ5のみで、すべて行使された場合でも、現在からの追加希薄化率は約0.9%です。
また会社は、ステージ5の下限行使価額を引き下げる修正条項を発動しない方針を示しました。
大規模な資金調達による希薄化はすでにかなり進んでおり、今後の追加希薄化が限定的になったことは既存株主にとって安心材料です。
一方で、約120億円を調達した以上、これからは「資金を集められたか」ではなく、「その資金でどれだけ売上と利益を生み出せるか」が問われます。
株式を1株から2株へ分割
テラドローンは、2026年10月1日付で1株を2株に分割します。
権利落ち日は9月29日、基準日は9月30日です。
株式分割によって企業価値そのものが増えるわけではありませんが、1単元当たりの投資金額が半分になるため、個人投資家が参加しやすくなります。
株価が大きく上昇し、最低投資金額も高くなっていたテラドローンにとって、流動性の改善が期待できる施策です。
今回の決算で評価できるポイント
今回の決算で特に評価できるのは、次の点です。
- 売上高と売上総利益は前年同期を上回った
- 農業事業の粗利益率が8%から33%へ改善
- UTM事業の売上高が2倍以上に拡大
- ベルギー国防省から世界初となる軍向けUTMを受注
- 迎撃ドローンで応募38社中、唯一の量産調達契約を獲得
- 防衛事業の売上が第3四半期から始まる
- 防衛事業を含めると期初想定を上回る見通し
- 約120億円を調達し、防衛事業を進める資金を確保
- 残る新株予約権による追加希薄化率は約0.9%
単純な第2四半期の損益以上に、防衛事業の具体化が進んだ決算だったと評価できます。
PTSでは約10%下落――出来高は決算前から警告していた?
決算発表後、テラドローンのPTS株価は約10%下落しました。
防衛事業の上振れ期待が示された一方、足元では営業赤字が拡大。さらに株価が決算前までに大きく上昇していたため、市場の期待値に届かなかった可能性があります。
ただ、今回の下落は決算だけを見て突然起きたものではありません。
決算前の値動きと出来高を見ると、高値圏で大きな出来高を伴いながら、株価の上値が重くなる場面が見られました。
出来高が増えているのに株価が伸びなくなったときは、新しく買う投資家がいる一方、それ以上に利益確定したい投資家が売っている可能性があります。
つまり今回のPTS下落は、決算前から出来高に兆候が表れていたとも考えられます。
🐥まろぴーの相場メモ
「これ、出来高を見ていたら下落リスクには気づけた動きかも……」
もっとも、下落の可能性に気づくことと、決算をまたいで空売りすることは別問題です。
防衛事業の大型受注や大幅な上方修正が出れば、株価がさらに上へ飛ぶ可能性もありました。今回は保有していなかったため、無理に空売りで決算勝負をしなかったことに後悔はありません。
それよりも今回の動きは、高値圏で出来高が急増した銘柄をどう見るか、その実例として非常に分かりやすいケースになりました。
出来高から株価の過熱感や売り圧力を読み取る方法は、こちらの記事で詳しく解説しています。
▶︎【内部リンク】出来高の記事はこちら
注意したいポイント
一方、期待だけで判断するのも危険です。
- 営業損失は前年同期より拡大
- 下半期の売上計上に大きく依存している
- 1,767機のモジュール型UAVはまだ入札前
- 防衛案件は入札結果や納入時期によって業績が変動する
- サウジアラビア事業では飛行承認の遅延が発生
- Besomar社との合弁会社設立は条件面で折り合わず中止
- 株価には防衛事業への大きな期待がすでに織り込まれている可能性がある
- 約120億円の資金を利益成長へつなげられるかはこれから
とくに、会社が「上振れる見通し」と説明していても、上振れ幅までは示されていません。
売上が上振れても先行投資が続けば、利益改善が限定的になる可能性もあります。
まろぴーの決算評価
🐥「数字は赤字拡大。でも、中身は防衛事業が一段進んだ決算!」
今回の第2四半期だけを切り取れば、売上高22.35億円に対して営業損失8.19億円と、まだ利益を評価できる段階ではありません。
しかし、防衛装備庁での迎撃ドローン採用、ベルギー国防省向けUTM、UAE・マレーシアでの展開など、これまで期待先行だった防衛事業が具体的な受注へ変わり始めています。
さらに、防衛事業は通期業績予想に未反映で、会社は期初想定からの上振れ見通しを示しました。
そのため今回の決算は、
「赤字が拡大した悪い決算」
というよりも、
「本業は成長を維持しつつ、下半期から防衛事業が業績に乗り始めることを確認した決算」
と見るのが近そうです。
ただし、テラドローンの株価はすでに大きく上昇しています。
良い材料が出たかどうかだけでなく、市場がどこまでの成長を織り込んでいるかも考えなければなりません。
今後の最大の焦点は、
- 防衛事業による正式な業績予想の上方修正
- モジュール型UAV1,767機の入札結果
- 迎撃ドローンの追加受注
- ベルギーに続く軍向けUTMの横展開
- 売上成長が営業赤字の縮小につながるか
この5点です。
夢だけだった防衛ドローンが、いよいよ数字に変わり始めるのか。
テラドローンにとって、本当の勝負は第3四半期から始まりそうです。
※本記事は公開資料をもとにした情報整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
出典:Terra Drone「2027年1月期 第2四半期 決算説明資料」



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