QDレーザは本当にNTT「IOWN」と無関係?否定IR・アイオーコア・光電融合の接点を徹底検証

企業深掘

QDレーザ(6613)を追っている投資家なら、一度は気になったことがあると思います。

「QDレーザって、結局NTTのIOWNと関係あるの?」

ネットでは、

「IOWN関連株」

として語られることがある一方、

「QDレーザ自身がIRで否定している」

という話も出てきます。

さらに調べていくと、

アイオーコアへの量子ドットレーザ6万個の量産出荷

という事実もある。

そしてNTTが現在進めているIOWN 2.0、IOWN 3.0の方向性を見ると、

シリコンフォトニクス
光電融合
コンピューター内部の光配線

と、QDレーザが取り組んでいる技術にかなり近い。

🌸まろぴー
「否定IRが出てるなら関係ないの?でも技術はめちゃくちゃ近くない……?」

今回はここを徹底的に調べます。

先に結論を書くと、

「QDレーザ製品がNTTのIOWNに採用されている」と確認できる公開情報はありません。

ただし、

「QDレーザとIOWNはまったく関係ない」

と現在も単純に片付けられる状況でもありません。

何が事実で、どこからが期待なのか。

一つずつ整理していきます。


まず、あの「否定IR」は何だった?

この話をするなら、まず2023年9月まで戻る必要があります。

2023年9月14日、BSテレ東の番組で、QDレーザ製品のIOWN構想への採用に関する内容が放送されました。

これに対して翌9月15日、QDレーザは異例ともいえる適時開示を出します。

タイトルは、

「昨日の一部報道について」

会社の説明はこうです。

当社製品のIOWN構想への採用に関する内容の放送がありましたが、当社または当社社長の菅原が発表、発言したものではなく、事実として認識しておりません。

つまり、

「QDレーザ製品がIOWNへ採用された」という報道内容を、会社として事実とは認識していない

というIRでした。(開示東京)

これはかなり重要です。


ただし「IOWNとは技術的に無関係」と否定したわけではない

ここが今回の記事で一番整理しておきたいところ。

2023年のIRが否定したのは、

「QDレーザ製品がIOWNに採用された」という事実認識。

一方で、

「QDレーザの技術とIOWNは無関係」

と技術的な接点まで否定したIRではありません。

ここをごちゃ混ぜにすると、

「IOWN採用確定!」

という話と、

「QDレーザはIOWNと完全に無関係!」

という両極端な解釈になってしまいます。

実際、その後のQDレーザ経営陣の説明を見ると、かなりニュアンスがあります。


QDレーザ元社長は「現在はまったく関係ない」と説明していた

過去の決算説明会では、かなり直接的な質問が出ています。

「IOWN構想との関係は?」

当時の菅原社長は、

「現在は、QDレーザはIOWN構想とはまったく関係ない」

と説明しています。(ログミーファイナンス)

ここだけ読むと、

「やっぱり関係ないじゃん!」

となります。

ところが話には続きがあります。

菅原氏はそのうえで、

アイオーコアはNECからのスピンオフ企業であり、NECなどを通じて何らかの接点が生まれ、QDレーザのチップがアイオーコアのチップを通してIOWN構想の一部に使われる可能性は否定できない

という趣旨の説明もしています。

ただし、これは菅原氏自身も明確に、

「推測」

として語っています。(ログミーファイナンス)

ここは分けて考える必要があります。


そして実際、QDレーザは「アイオーコア」に納入している

ここから話が面白くなります。

2023年4月17日。

QDレーザは、

アイオーコアから量子ドットレーザ6万個を量産受注した

と正式発表しています。

しかも研究用サンプルではありません。

量産受注です。

5月から出荷を開始。

その量子ドットレーザは、アイオーコアの光配線用シリコンフォトニクスチップ、

「IOCore」

へ搭載されます。(QD Laser)

これは完全に確認できる事実です。


「IOCore」って何?

IOCoreは約5mm角という非常に小さな光配線チップ。

従来、

LSI
↓
銅配線
↓
LSI

でつないでいた部分を、

LSI
↓
光
↓
LSI

へ変えていくための光電変換デバイスです。

しかもIOCoreには、

QDレーザの量子ドットレーザが光源として搭載されています。

アイオーコア自身も2023年の発表で、

「IOCoreは、QDレーザと世界最先端のシリコンフォトニクス技術を融合させることにより実現している」

と説明しています。(開示東京)

つまり、

QDレーザ
↓
量子ドットレーザ
↓
アイオーコア
↓
IOCore
↓
LSI間の光配線

ここまでは「可能性」ではありません。

実際に存在する商流・製品です。


QDレーザは今もIOCoreを成長事業として扱っている

さらに2024年のQDレーザ決算説明資料でも、

シリコンフォトニクスによる売上拡大

を新たな柱として掲載。

実例として、

アイオーコアの光配線用シリコンフォトニクスチップ「IOCore」

が明記されています。

QDレーザは自社の強みとして、

120℃超の高温動作
温度変動への強さ
高信頼性

を挙げています。(日本取引所グループ)

つまりIOCoreとの関係は、一時的な研究協力という扱いではありません。


ではNTT「IOWN」は何をしようとしている?

ここでNTT側を見てみます。

IOWNの重要技術の一つが、

PEC
Photonics-Electronics Convergence
=光電融合

です。

NTTは、

これまで電気で処理していた領域を段階的に光へ置き換える

ことを目指しています。

しかもネットワークだけではありません。

最終的には、

コンピューター内部

まで光技術の適用範囲を広げる構想です。(NTT)

……。

🌸まろぴー
「これ、さっきのIOCoreの説明とかなり似てない?」

そうなんです。

だから投資家がQDレーザとIOWNを結びつけたくなる理由は、ちゃんとあります。


IOWN 2.0では「PEC-2」が商用化へ

そして2026年。

IOWNはかなり具体的な段階まで進んできました。

NTTは、

PEC-2

を使った光電融合スイッチを開発しています。

6.4Tbit/sのPEC-2を102.4Tbit/sのスイッチチップへ実装し、従来型のプラガブルトランシーバを使ったスイッチと比較して、

50%の電力削減

を目指しています。(NTT R&D)

さらにNTTは2026年度中に、

ブロードコム
アクトン・テクノロジー

などと連携した光電融合スイッチを商用化する計画です。(NTT)

これはもう遠い未来の研究テーマだけではありません。


IOWN 3.0では「パッケージ間」まで光になる

さらに次。

IOWN 3.0。

NTTはPEC-3で、

パッケージ間光接続

を目指しています。

2028年度には商用サンプル提供開始を予定。

その先のPEC-4では、さらに光をコンピューター内部へ近づけていく構想です。(NTT)

つまり、

ネットワークを光にする

だけではなく、

コンピューターの中まで光にする。

これが現在のIOWNロードマップ。


ここでQDレーザの技術と並べてみる

QDレーザが取り組んでいるのは、

シリコンフォトニクス
↓
NPO
↓
CPO
↓
LSI周辺・内部の光配線

です。

実際、QDレーザの資料ではIOCoreを、

NPO(Near Packaged Optics)

の実例として紹介しています。(日本取引所グループ)

一方NTTは、

PEC-2
↓
光電融合スイッチ
↓
PEC-3
↓
パッケージ間光化
↓
さらにパッケージ内部へ

と進もうとしている。

技術ロードマップだけを見ると、

確かに同じ方向を向いています。


QDレーザ自身も「IOWNと方向性は非常に近い」と発言

さらに2024年の質疑応答。

投資家から再び、

「NTTが開発中のIOWNへ部品提供しているのか?」

と質問されています。

これに対する菅原氏の回答が興味深い。

QDレーザは現在、

世界9社へレーザチップまたはウエハを供給。

そして、

その一部顧客はIOWN構想へ入っていることが公表資料から確認できる

と説明しています。

ただし、

QDレーザのチップがIOWNで実際に使われるかは顧客とIOWNとの関係で決まるため、詳しい情報は持っていない

とも説明。

そのうえで、

「IOWN構想と我々の方向性は非常に近い」

として、将来的に製品が使われる可能性について言及しています。(みんかぶ)


2025年には回答がさらに慎重になった

そして2025年。

かなりストレートな質問が出ます。

「アイオーコアへ納品される部品はNTTのIOWN構想へ提供されますか?」

これに対する会社の回答は、

「IOWN構想については顧客側の情報になるため回答を控える」

でした。(みんかぶ)

これは、

採用を認めた回答ではありません。

当然、

IOWN採用の証拠にもなりません。

ただし同時に、

「アイオーコア向け製品はIOWNとは無関係です」

とも回答していません。

ここはかなり重要なニュアンスです。


つまり「否定IR」の意味が少し見えてくる

時系列で並べると分かりやすい。

2023年4月

QDレーザ
→ アイオーコアから量子ドットレーザ6万個を量産受注
→ IOCoreへ搭載。(QD Laser)

↓

2023年9月

テレビ番組でIOWN採用に関する内容が放送。

QDレーザ
→ 「当社や社長が発表・発言したものではなく、事実として認識していない」とIR。(開示東京)

↓

その後の説明会

当時はIOWNとは直接関係ないと説明。

ただし、

将来的にアイオーコアなどを通じて使われる可能性については否定せず。 (ログミーファイナンス)

↓

2024年

世界9社へ量子ドットレーザ等を供給。

その一部顧客がIOWN構想に入っていることを説明。

さらに、

「IOWNとQDレーザの方向性は非常に近い」

と発言。(みんかぶ)

↓

2025年

「アイオーコア向け製品はIOWNへ提供されるのか?」

という質問に、

顧客情報なので回答を控える。 (みんかぶ)

↓

2026年

NTTはPEC-2商用化へ。

さらに2028年度のPEC-3商用サンプルを計画。(NTT)

こう並べると、かなり印象が変わります。


🟢 現時点で確認できる「事実」

まず、確実に言えること。

QDレーザはアイオーコアへ量子ドットレーザを量産供給している。

そのレーザーは、

光配線用シリコンフォトニクスチップIOCoreへ搭載される。

IOCoreは、

コンピューター内部でLSI同士を光接続するための技術。

QDレーザは世界9社へシリコンフォトニクス向けレーザー等を供給しており、その一部顧客がIOWN構想へ入っていることを会社自身が説明しています。(QD Laser)

そしてNTT IOWNも、

コンピューター内部へ光技術を導入する

方向へ進んでいます。(NTT)


🟡 公開情報では分からないこと

一方、

アイオーコアへ出荷されたQDレーザ製品が、実際にNTTのIOWN製品へ搭載されているのか。

これは分かりません。

会社も回答していません。(みんかぶ)

また、

NTTのPEC-2やPEC-3にQDレーザ製量子ドットレーザが採用されている

という一次情報も、今回確認した範囲では見つかりませんでした。

ここを事実として書くのは危険です。


🔴 現段階では「思惑」の領域

したがって、

「PEC-2にQDレーザが採用されている」

「PEC-3ではQDレーザが採用される」

「NTTがQDレーザ製品を購入している」

といった話は、現時点では確認できません。

技術的な方向性が近いことと、

実際に商流へ入っていることは別です。

ここはかなり大事。


ただ、2023年当時とは状況が変わっている

まろぴーが一番気になったのはここです🌸

2023年の否定IRだけを見て、

「QDレーザとIOWNの話は完全終了」

と考えるのも少し違うように感じます。

なぜなら2023年当時、NTTのコンピューター内部への光電融合は、まだ研究開発色の強い段階でした。

ところが2026年現在、

PEC-2は商用化目前。

NTTは量産体制について、

1ライン月5,000台

まで生産能力を拡大。

需要に応じて3ライン以上へ増強し、昼夜体制などを組み合わせれば、

最大月3万台

まで生産可能な体制を想定しています。(NTT)

さらに2028年度にはPEC-3。

IOWNの光電融合が、

研究 → 製品 → 量産

へ進み始めています。


しかもQDレーザ側も研究だけではない

QDレーザも同じです。

量子ドットレーザについては、すでにアイオーコアから、

6万個の量産受注

を獲得。

IOCoreへの搭載実績があります。(QD Laser)

つまり両者とも、

「将来こんな技術ができたらいいね」

という段階から進んでいる。

NTTは光電融合デバイスを量産へ。

QDレーザはシリコンフォトニクス向け量子ドットレーザを量産へ。

だから2026年になって、再びこの2つの技術を結びつけて考える投資家が増えるのは自然です。


さらに面白い「NTT × QDレーザ」の接点

2026年9月現在、もう一つ興味深い動きがあります。

産業タイムズ社が開催する**「日台シリコンフォトニクス技術シンポジウム」**。

講演者を見ると、

NTT 先端集積デバイス研究所
「IOWN構想と光電融合デバイス」

に続いて、

QDレーザ レーザデバイス事業部長
「シリコンフォトニクス応用のための量子ドット技術」

というプログラムになっています。

さらに最後には、

AI時代に向けたシリコンフォトニクスの産業化

をテーマにパネルディスカッションが予定されています。(産業タイムズ)

もちろん、

同じシンポジウムに登壇する=取引関係がある

ではありません。

でも、

NTTのIOWN光電融合

と、

QDレーザの量子ドットレーザ

が、少なくとも同じシリコンフォトニクス産業の文脈で議論されていることは確認できます。

これは面白い。


なぜ量子ドットレーザが光電融合と相性がいい?

ここは技術面。

QDレーザの量子ドットレーザは、

120℃までの高温動作

に加え、

反射戻り光への耐性

を特徴としています。(QD Laser)

コンピューター内部へ光源を近づければ近づけるほど、

熱

は避けられません。

GPU、ASIC、スイッチチップなど高発熱デバイスの近くへ光源を配置する場合、

高温でも安定して動くレーザー

には技術的な意味があります。

だからQDレーザは量子ドットレーザを、

シリコンフォトニクスの光源

として売り込んでいるわけです。


そしてCPOへ

前の記事でも触れましたが、さらに光を半導体へ近づけるのが、

CPO
Co-Packaged Optics

です。

QDレーザ自身も過去の説明会で、

NPO → CPO

という光配線の進化について説明しています。

そして当時の菅原氏は、NTTのロードマップについても、

NPOやCPOへ進む方向性

と認識していることを説明しています。(ログミーファイナンス)

つまり、

AIデータセンター
↓
通信量爆発
↓
電気配線の電力・発熱問題
↓
シリコンフォトニクス
↓
NPO
↓
CPO
↓
レーザー光源

という巨大な流れの中に、

QDレーザの量子ドットレーザがいる。


では「QDレーザはIOWN関連株」なのか?

ここは結論を急がない方がいいと思います。

現時点で確認できる公開情報だけなら、

「QDレーザ製品がIOWNに採用されている企業」

とは言えません。

2023年の採用報道については、会社自身が事実として認識していないと否定しています。(開示東京)

一方、

「IOWNとは技術的にも事業的にも完全に無関係な会社」

と表現するのも、現在の情報を十分に表していないように見えます。

なぜなら、

QDレーザ → アイオーコア → IOCore → シリコンフォトニクス → コンピューター光配線

という実際の事業が存在し、

NTT IOWNも、

PEC-2 → PEC-3 → コンピューター内部の光化

へ向かっているからです。(QD Laser)

さらにQDレーザ自身が、

IOWNと自社の方向性は非常に近い

と説明しています。(みんかぶ)


🌸まろぴーが今後一番注目するIR

もし今後QDレーザから、

「IOWN」

という文字が正式なIRに出てきたら。

これはかなり意味が変わります。

特に見たいのは、

NTTグループとの共同開発

PEC関連への採用

IOWN関連製品への量産供給

アイオーコア向け数量の大幅増加

NPO・CPO向け量子ドットレーザの大型受注

このあたり。

現在の株価には、すでにかなり大きな将来期待が入っています。

だからこそ、

「技術的につながりそう」

から、

「本当に採用された」

へ変わる瞬間が重要になります。


まろぴーまとめ

今回かなり掘りました。

そして一番しっくりきた整理がこれ。

2023年の「IOWN採用」報道
→ QDレーザは事実として認識していないと否定。

これは事実。

でも、

QDレーザ → アイオーコア

には実際の量産取引があります。

量子ドットレーザ6万個を受注し、IOCoreへ搭載。(QD Laser)

さらに、

IOCore → シリコンフォトニクス → LSI光配線

という技術があります。

そしてNTT IOWNは現在、

PEC-2 → PEC-3 → コンピューター内部の光化

へ進んでいる。(NTT)

つまり、

QDレーザ
↓
量子ドットレーザ
↓
IOCore
↓
シリコンフォトニクス
↓
NPO / CPO

と、

NTT
↓
IOWN
↓
PEC-2
↓
PEC-3
↓
コンピューター光電融合

この2本の道は、

かなり近いところを走っています。

でも、

まだ「つながった」と確認できる橋は見つかっていない。

ここが2026年9月19日時点で、一番正確な答えだと思います。

だからこそ面白い。

「QDレーザはIOWN関連だから買い!」

ではなく、

今後、この2本の道が本当に交わるのか。

まろぴーはそこを追いかけたいと思います🌸

QDレーザそのものの量子ドットレーザ、AIデータセンター、CPOについてはこちらで詳しくまとめています。

▶ QDレーザ、株価6倍の理由は?AIデータセンター・CPOで注目される「量子ドットレーザー」を徹底調査

AIデータセンター全体の電力・通信インフラについてはこちら。

▶ AIで「電力株」は本当に儲かる?データセンター特需で伸びる“本当の関連株”を徹底調査

※本記事は2026年9月19日時点で確認できる公開情報をもとに作成しています。「IOWNへの採用」など公開情報で確認できない事項については事実として扱っていません。特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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