GPUを冷やす「知られざる3社」!AI液冷で伸びる日本株を発掘、カプラ・ポンプ・ファンに注目

企業深掘

生成AIの成長で、NVIDIAをはじめとするGPUの性能競争が続いています。

でも、高性能になればなるほど深刻になる問題があります。

「熱」です。

AIサーバーでは大量の電力を使い、その多くが熱になります。

そこで注目されているのが、

空気ではなく液体でGPUやCPUを冷やす「液冷」

です。

🌸まろぴー
「液冷関連ってニデックとか冷却装置メーカーの話でしょ?」

最初はそう思っていました。

でも液冷システムを部品単位までバラしてみると、もっと面白い会社が出てきました。

今回は、

日東工器(6151)
イワキ(6237)
ミネベアミツミ(6479)

の3社。

派手なGPUを作っているわけでも、AIモデルを開発しているわけでもありません。

でもAIサーバーが液冷化すると、

冷却液を送る。
つなぐ。
漏れを防ぐ。
流れを監視する。
残った熱をファンで逃がす。

これらが必要になります。

AIデータセンターの地下配管を覗いてみたら、黒子たちが働いていました🔎


そもそも、なぜAIサーバーは「液冷」になる?

従来のサーバーは、

ファンで風を送って冷やす「空冷」

が中心でした。

ところがAIサーバーではGPUの消費電力と発熱量が増大。

GPUやCPUの表面に金属製のコールドプレートを取り付け、その内部へ冷却液を流して熱を直接回収する、

Direct Liquid Cooling(DLC)

が重要になってきています。

ただし、ここで勘違いしやすいポイントがあります。

液冷になるからファンが全部なくなるわけではありません。

ミネベアミツミは、GPU・CPUを液冷にしても、電源・メモリー・ストレージなどは空冷するハイブリッド方式が主流になるとの見方を示しています。

同社資料では、2025年から2028年にかけてサーバー台数のCAGRを19.8%、ファンモーター市場を17.9%と予測しています。 (ミネベアミツミ)

つまりAIサーバーでは、

液冷+空冷

という巨大な冷却システムが必要になってくる可能性があります。


液冷サーバーを「冷却液の旅」で見てみる

ざっくり構造を追ってみます。

GPU・CPUが発熱🔥

↓

コールドプレート

GPUなどから熱を冷却液へ移す

↓

ポンプ

冷却液を循環させる

↓

配管

冷却液を運ぶ

↓

カプラ

サーバーや配管を安全に接続・切断する

↓

センサー

水圧・流量・漏水などを監視

↓

熱交換・排熱

冷却液が回収した熱を外へ逃がす

↓

ファン

電源やストレージ、熱交換器など残った部分を空冷

こうして見ると、

冷却装置を作っている会社だけが液冷関連企業ではない

ことが分かります。

今回の3社は、それぞれ違う場所にいます。

企業AI液冷で担う部分注目製品
日東工器配管の接続カプラ
イワキ冷却液の循環ポンプ
ミネベアミツミ循環・監視・排熱ポンプ、センサー、ファンなど

ここから1社ずつ見ていきます。


① 日東工器 液冷の「接続部分」を握る黒子

最初に見つけて、

🌸まろぴー
「これ面白い……」

となったのが日東工器です。

日東工器の主力製品の一つが、

迅速流体継手「カプラ」

です。

カプラとは、空気・水・油・薬液などが流れる配管を素早く接続・切断するための部品。

同社は約2万5,000種類ものカプラを展開しています。

そして公式サイトを見ると、用途として明確に、

「データセンターやスーパーコンピュータ」

と書かれています。 (ニットーコーキ)


液冷サーバーで「カプラ」が重要になる理由

サーバーは一度設置したら終わりではありません。

GPU交換。

サーバー交換。

ラック交換。

メンテナンス。

故障対応。

こうした作業が発生します。

ところが液冷サーバーには、

冷却液が流れている。

配管を外すたびに冷却液がドバッと漏れたら大惨事です。

特にGPUなど大量の電子機器が並ぶ場所なので、

液漏れを極力抑えながら、素早く着脱する

必要があります。

そこで登場するのがカプラ。

日東工器には、

「コンパクトゼロスピルカプラ」

という液だれを低減した製品があり、会社自身がデータセンター内の水冷配管用途を挙げています。 (ニットーコーキ)


2026年、日東工器がかなり動いている

ここが今回かなり気になったところ。

2026年6月。

日東工器は、

「コンパクトゼロスピルカプラ ブラインドメイトタイプ」

のカタログを公開。

用途には、

「HPCのパフォーマンスを引き出す直接液冷配管に」

と明記されています。

さらに2026年8月には、

HPC・電子精密機器の液冷配管向け

の真ちゅう製コンパクトゼロスピルカプラもラインアップされています。 (ニットーコーキ)

HPCとは、

High Performance Computing

つまり高性能コンピューティング。

AIサーバーと非常に近い世界です。


サーバーをラックに挿すだけで冷却配管がつながる

さらに面白いのが「ブラインドメイト」。

従来なら、

サーバーを設置
↓
配管を確認
↓
カプラを接続

という作業が必要になります。

ところが日東工器のブラインドメイトタイプは、

カプラを取り付けたサーバーをラックへ挿入するだけで冷却配管を接続できる

設計。

位置ずれにも対応し、液だれを抑えるバルブ構造も備えています。 (ニットーコーキ)

AIデータセンターが巨大化してラック数が増えていくなら、

「接続作業を簡単にする」

という価値はかなり分かりやすい。


日東工器の面白いところ

さらに株式市場的に面白いのが、

まだ会社全体がAIデータセンター企業として評価されているわけではない

ところ。

9月18日の株価は1,755円。

予想PERは約22.4倍、PBRは約0.54倍、時価総額は約336億円でした。 (スカウター)

一方で迅速流体継手事業そのものは、自動車、半導体、食品、化学、水素など非常に幅広い。

2025年3月期の同事業売上高は119.9億円、営業利益20.6億円でした。 (ニットーコーキ)

ただし重要な注意点があります。

データセンター向けカプラだけの売上高は開示されていません。

だから、

「AI液冷で日東工器の利益が爆発する」

と現時点で判断するのは早い。

むしろ注目したいのは、

2026年にHPC・データセンター液冷向け製品を相次いで投入していること。

ここから売上構成がどう変わるのか。

まだ数字が見えないからこそ面白い会社です。


② イワキ 冷却液を動かす「ポンプ」の黒子

続いてイワキ。

イワキは、

ケミカルポンプを中心とした流体制御機器メーカー

です。 (イワキポンプ)

液冷システムでは冷却液をGPUへ流して終わりではありません。

熱くなった冷却液を回収し、再び冷やしてGPUへ戻す。

つまり、

冷却液を循環させ続ける必要があります。

そこで必要なのがポンプ。


イワキは本当にデータセンター向け製品を出している

ここも確認できました。

イワキの公式製品サイトには、

「データセンター・サーバーの冷却、光源冷却など各種冷媒循環用途に最適」

として、

ダイレクトポンプ「NRD-70/100」

が掲載されています。 (いわきポンプ)

つまり、

「ポンプ会社だからAI液冷にも使えるかも」

という連想ゲームではありません。

会社自身が、

データセンター・サーバー冷却用途

を明確に打ち出しています。


NRD-70/100は何が違う?

NRD-70/100は高揚程・大流量タイプのキャンドモータポンプ。

最大吐出量はシリーズで最大140L/min。

さらに、

シールレス構造

になっています。 (いわきポンプ)

液冷サーバーで怖いのは、やっぱり液漏れ。

そのため、

冷却液を大量に安定して循環させる

ことと、

漏れにくい

ことの両方が重要になります。

ポンプなんて地味。

でも冷却液が止まったらGPUを冷やせません。

まさに黒子です。


イワキはすでに株価がかなり動いている

ただし日東工器とは株価の状況が違います。

2026年9月18日の株価は3,925円。

予想PER約16.9倍、PBR約2.07倍、時価総額約883億円。

年初来安値2,423円に対して、年初来高値は8月5日の6,030円でした。 (Yahoo!ファイナンス)

一度かなり買われています。

つまり、

「誰にも気づかれていないAI黒子」

というほどではありません。

それでも高値6,030円から3,925円まで大きく調整しているのは気になるところ。


ただし「AI液冷専業」ではない

ここも重要。

イワキは、

半導体・液晶
水処理
医療機器
化学
食品
新エネルギー

など非常に幅広い産業へポンプ・流体制御機器を提供しています。 (いわきポンプ)

2035年3月期には、

売上高1,000億円、営業利益率15%以上

を長期目標として掲げています。 (イワキポンプ)

AIデータセンターは成長ドライバー候補の一つ。

現段階では、

「AI液冷需要がイワキ全体の利益をどれだけ押し上げるか」

までは開示情報から読み切れません。

ここは日東工器と同じです。


③ ミネベアミツミ 実は液冷部品の「全部盛り」だった

そして3社目。

調べていて一番驚いたのがミネベアミツミです。

ミネベアミツミといえば、

ベアリング
モーター
精密部品

というイメージが強い。

ところがAIサーバー向け製品を見ると、かなり広い。

会社自身が現在、AIサーバー向けとして、

大型ファンモーター
ポンプモーター
圧力センサー
漏水センサー
ステッピングモーター
フローセンサー
IRセンサー
光コネクタ
電源IC

などを紹介しています。 (ミネベアミツミ製品サイト)

🌸まろぴー
「いや、液冷まわりほとんどいるじゃん……。」

そうなんです。


ミネベアミツミは「液冷になったらファンが売れなくなる」を逆手に取る

液冷が広がると、

ファンメーカーには逆風では?

という疑問があります。

でもミネベアミツミの考え方は面白い。

GPU・CPUは液冷。

その一方で、

電源
メモリー
ストレージ
熱交換器

などは引き続き空冷。

つまり、

液冷+空冷のハイブリッド。

さらに液冷側にも、

ポンプモーター
バルブ用モーター
圧力センサー
漏水センサー

などを投入する。

要するに、

空冷でも取る。
液冷でも取る。

という戦い方です。

2026年2月の決算説明でも、会社はAIサーバー関連について、HDDスピンドルモーターやファンモーターに加えて、液冷システムのポンプ・バルブ用モーターや圧力センサーなどへ事業機会が拡大していると説明しています。 (ミネベアミツミ)


しかも、すでにデータセンター需要が業績に出ている

ここは他の2社との大きな違い。

ミネベアミツミの2027年3月期第1四半期では、プレシジョンテクノロジーズ事業について、

「データセンター向けのサーバー需要が堅調」

だったことでボールベアリング売上が増加。

同事業は、

売上高820億4,800万円
前年同期比+23.7%

営業利益191億1,900万円
前年同期比+34.1%

となりました。

モーター・ライティング&センシング事業でも、HDD用スピンドルモーターやファンモーターの需要増が売上増加につながっています。 (ミネベアミツミ)

もちろん、この増収増益すべてがAIサーバーによるものではありません。

ただ、

データセンター需要がすでに決算説明に登場している

のは大きい。


2027年3月期も「データセンター需要」を会社が見込む

ミネベアミツミは2027年3月期について、

売上高1兆6,900億円
営業利益1,200億円

を予想。

営業利益は前期比15.4%増を計画しています。

そして会社は予想の背景として、

「データセンター向け需要の継続」

を明記しています。 (ミネベアミツミ)

3社の中では、

AI・データセンター需要が会社業績へ表れ始めていることを最も確認しやすい

企業です。


でもミネベアミツミは会社が巨大

一方、弱点もあります。

9月18日の株価は3,455円。

予想PER約15.95倍、PBR約1.50倍。

時価総額は約1兆4,756億円です。 (Yahoo!ファイナンス)

日東工器約336億円。

イワキ約883億円。

それに対して、

ミネベアミツミ約1.48兆円。

規模が全然違います。

だから液冷部品が伸びても、

会社全体の業績インパクトという意味では薄まりやすい。

ただし、

ファン
ベアリング
ポンプ
センサー
コネクタ
HDD関連

とAIサーバー1台から取れる部品の種類が多い。

ここがミネベアミツミの面白さです。


3社を比較するとかなり性格が違う

整理してみます。

日東工器イワキミネベアミツミ
コード615162376479
主な役割配管接続冷却液循環冷却・監視・排熱
液冷関連製品カプラポンプポンプ・センサー・モーター
AI/DCとの直接性公式にDC/HPC用途公式にDCサーバー冷却用途会社がAIサーバーを成長分野化
DC業績寄与の見え方まだ不明まだ不明決算でDC需要に言及
9/18株価1,755円3,925円3,455円
予想PER約22.4倍約16.9倍約16.0倍
時価総額約336億円約883億円約1.48兆円

株価・指標は2026年9月18日時点。 (スカウター)


「AIとの距離」と「業績インパクト」は別物

ここ、投資ではかなり重要だと思います。

AIデータセンターとの関係が明確でも、

その製品が会社全体の売上の1%しかなければ、利益への影響は小さい。

逆に小型企業なら、

液冷向け売上が数十億円増えるだけで会社全体が変わる

可能性があります。

今回の3社なら、

日東工器

は会社規模が小さく、液冷カプラが本格的に伸びた場合のインパクトを追いたい。

イワキ

はポンプという液冷の中核部品を持ち、会社規模もまだ1,000億円未満。

ミネベアミツミ

はAIサーバーとの接点が最も広く、すでにデータセンター需要が業績説明に出ている一方、会社規模が非常に大きい。

三者三様です。


まろぴーが特に気になったのは「日東工器」

今回調べていて、一番、

「こんなところにもAIデータセンター関連企業がいたのか」

と思ったのが日東工器でした。

理由は単純。

2026年になって、

6月:HPC直接液冷向けブラインドメイト

8月:HPC・電子精密機器向け液冷カプラ

と、かなり具体的な製品展開が進んでいるからです。 (ニットーコーキ)

しかも、

サーバーをラックへ差し込むだけで冷却配管を接続する

という用途は、AIサーバーの高密度化・大量導入と非常に分かりやすくつながります。 (ニットーコーキ)

ただし現段階では、

データセンター向け売上高が開示されていない。

ここが最大のポイント。

だから今すぐ業績インパクトを大きく見積もるのではなく、

今後の決算説明資料で「データセンター」「液冷」「HPC」という言葉が増えてくるか

を追いたい。


イワキもかなり気になる

もう一社、企業単独で深掘りするならイワキ。

日東工器のカプラは、

液体を「つなぐ」部品。

イワキのポンプは、

液体を「動かす」部品。

液冷システムではどちらも必要です。

しかもイワキはすでにNRD-70/100を、

データセンター・サーバー冷却用途

として正式に展開しています。 (いわきポンプ)

株価は年初来高値6,030円から3,925円まで約35%下落。

PERも約16.9倍まで低下しています。 (Yahoo!ファイナンス)

ここは、

なぜ一度6,000円まで買われたのか

まで掘ると面白そうです。


AIデータセンターの「黒子」はまだまだいる

今回調べて分かったのは、

AIデータセンターというテーマは、

半導体だけ見ていると半分しか見えていない

ということ。

GPUを動かすには電力が必要。

電力を送るには変圧器・配電設備が必要。

GPU同士をつなぐには光通信が必要。

そしてGPUを動かせば、

必ず熱が出る。

その熱を逃がすには、

冷却装置
↓
ポンプ
↓
配管
↓
カプラ
↓
センサー
↓
ファン

まで必要になります。

以前の記事では、AIデータセンターを支える電力インフラ側を調べました。

▶ AIで「電力株」は本当に儲かる?データセンター特需で伸びる“本当の関連株”を徹底調査

さらに通信側では、量子ドットレーザーとCPOを持つQDレーザも深掘りしています。

▶ QDレーザ、株価6倍の理由は?AIデータセンター・CPOで注目される「量子ドットレーザー」を徹底調査

こうして並べると、

電力 → 通信 → 冷却

までAIデータセンターの黒子がかなり見えてきました。


🌸まろぴーまとめ

AI投資というと、

NVIDIA。

半導体製造装置。

データセンター。

電力。

このあたりへ目が向きがち。

でも今回面白かったのは、

「GPUが熱くなる」

という極めて単純なところから掘っていったこと。

GPUが熱くなる。

だから冷却液を流す。

冷却液を流すなら、

ポンプがいる。

配管を取り外すなら、

カプラがいる。

水を電子機器の近くで使うなら、

漏水センサーがいる。

液冷になっても周辺機器には、

ファンがいる。

こう考えると、

日東工器
イワキ
ミネベアミツミ

がAIデータセンターへつながってきます。

ただし3社とも、

「AI液冷だけで業績が大きく伸びる」

と現時点で断定できるわけではありません。

むしろ次に確認したいのは、

液冷関連の受注額
データセンター向け売上高
大手サーバーメーカーへの採用
海外データセンター向け展開
量産能力の増強

このあたり。

特に日東工器とイワキ。

今後の決算資料で「AI」「HPC」「データセンター」「液冷」という言葉が増えてきたら、かなり面白くなってきそうです。

AIデータセンターの主役ではない。

でも主役が働くためには必要になる。

こういう会社こそ「AI黒子株」を探す面白さなのかもしれません🌸

※本記事は2026年9月19日時点の公開情報をもとに作成しています。株価・PER・時価総額等は変動します。特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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