AIデータセンターについて調べていると、次から次へと新しい「黒子」が出てきます。
GPUが高性能になる。
↓
ものすごく熱くなる。
↓
空冷だけでは厳しくなり、液冷が広がる。
ここまでは前回の記事で調べました。
▶ GPUを冷やす「知られざる3社」!AI液冷で伸びる日本株を発掘
でも、ここでまろぴーは一つ気になりました。
🌸 まろぴー「サーバーの中や周りに水を流すなら……漏れたらめちゃくちゃ怖くない?」
そうなんです。
液冷が普及すると、新しく「漏水」というリスクが生まれます。
そして、このかなりニッチな部分ですでに増産へ動いている日本企業がありました。
それが、
JX金属(5016)グループのタツタ電線。
今回はGPUでも半導体でも冷却装置でもありません。
テーマは、
「水漏れを見張る会社」
です。
AIデータセンターで「漏水検知」が必要になる
従来のデータセンターでは、サーバーを大量の冷たい空気で冷やす空冷方式が中心でした。
ところがAI向けGPUは発熱量が大きい。
そこでCPUやGPUの近くまで冷却液を運び、直接熱を回収する液冷技術の導入が進んでいます。
液冷になれば当然、
配管・ホース・継手・ポンプ・コールドプレート
など、液体が流れる場所がサーバーの近くに増えます。
そこで問題になるのが、
「もし冷却液が漏れたらどうするの?」
ということ。
JX金属も2026年8月5日の発表で、生成AIの普及によるAIデータセンター建設拡大、高性能GPUの発熱量増大を背景に液冷技術の導入が拡大し、漏水を早期検知するニーズが高まっていると説明しています。 (JX-NMM)
AI投資の流れを並べると分かりやすいです。
GPUが増える
↓
発熱が増える
↓
液冷が増える
↓
配管が増える
↓
漏水対策が必要になる
AI投資のお金が、ついに**「水漏れセンサー」**にまで流れてきました。
そこで登場する「タツタ電線」
タツタ電線という名前だけを見ると、
「また電線会社?」
と思いますよね。
でも今回注目するのは電線ではありません。
タツタ電線にはセンサー&メディカル事業があり、その中で漏水検知システムを展開しています。
しかも会社によると、漏水位置検知センサーはすでに国内外のデータセンターに多数採用されています。 (タツタ電線株式会社)
ただ水漏れを知らせるだけじゃない
これがなかなか面白い。
タツタ電線の製品には、
「水が漏れました!」
と知らせるだけではなく、
「どこで漏れたのか」
まで特定できるタイプがあります。
「AD-AS-1LDMA」という漏水位置検知器では、センサーを最大400mまで接続可能。
漏水位置をメートル単位で表示でき、RS-485によるネットワーク管理にも対応しています。 (タツタ電線株式会社)
巨大なデータセンターで、
「どこかから水が漏れています」
だけでは困ります。
漏水箇所をすぐに特定して対応できること自体が重要になる。
液冷設備が増えるほど、こうした製品の存在感も増していきそうです。
そして2026年、ついに「30%増産」
ここが今回一番気になったところ。
2026年8月5日、JX金属とタツタ電線は、
AIデータセンターなどに使用される漏水検知システムの生産能力を、2025年度比で約30%増強する
と発表しました。
京都工場のレイアウトや導線を最適化し、製造装置も増設。
増強した設備は2026年8月末から本格稼働予定としています。 (JX-NMM)
▶ JX金属「AIデータセンター市場の拡大に伴う漏水検知システムの生産能力増強」
ここは結構重要だと思っています。
「将来AIデータセンターで使われるかもしれない」
という連想ではありません。
会社自身が、
AIデータセンター市場の拡大に伴って需要が増えている
として、実際に生産能力を増強しています。
つまり、
AI → 液冷 → 漏水検知
という需要の連鎖が、すでに設備投資まで来ているわけです。
JX金属って半導体材料の会社じゃないの?
ここがさらに面白いところ。
JX金属というと、
半導体用スパッタリングターゲット
などをイメージする人が多いと思います。
でもAIデータセンターとの接点を調べると、意外と広い。
今回の発表でもJX金属は、AIデータセンターの発展に不可欠な先端材料として、
半導体用スパッタリングターゲット
インジウムリン(InP)基板
漏水検知システム
などを挙げています。 (JX-NMM)
つまりJX金属は、
AI半導体を作るための「材料」
だけでなく、
AIデータセンターを動かすための「設備」
にも接点を持っていることになります。
実はJX金属、AIデータセンター投資をかなり進めている
漏水検知だけを見ていると、JX金属全体にとっては小さな事業に見えるかもしれません。
でも2026年のニュースを追ってみると、少し見え方が変わります。
JX金属は2026年6月、
データセンター向け光通信インフラ需要の拡大に対応するため、InP基板の生産能力増強に最大1,200億円を投資する方針
も発表しています。 (JX-NMM)
さらに9月には、グループ会社の東邦チタニウムで、
AIデータセンター向けMLCC用超微粉ニッケル
の生産能力増強も発表しています。 (JX-NMM)
こうして並べると、
半導体材料
+ 光通信材料
+ 電子部品材料
+ 液冷設備の漏水検知
と、AIデータセンターのかなり複数の場所に入り込んでいることが分かります。
ここは単なる「漏水検知銘柄」として見るより面白いところです。
前回の「液冷3社」とつなげると分かりやすい
前回調べた企業と並べてみます。
| 会社 | AI液冷での役割 |
|---|---|
| 日東工器 | 冷却液を「つなぐ」 |
| イワキ | 冷却液を「動かす」 |
| ミネベアミツミ | ポンプ・ファン・センサー |
| タツタ電線/JX金属 | 冷却液の「漏れを見張る」 |
これでAI液冷の世界がかなり立体的になってきました。
GPUを冷やすだけではありません。
流す。
つなぐ。
監視する。
漏れたら検知する。
この周辺全部に企業が存在します。
前回の液冷3社の記事はこちらです。
▶ GPUを冷やす「知られざる3社」!AI液冷で伸びる日本株を発掘
ただし「30%増産=JX金属の利益30%増」ではない
ここはかなり大事。
JX金属は大きな会社です。
漏水検知システムの生産能力が30%増えるからといって、
JX金属全体の利益が30%増えるわけではありません。
今回確認できた会社資料では、漏水検知システム単体の売上高や利益額までは開示されていません。
そのため現時点で、
「JX金属はAI液冷の本命株!」
とまで言ってしまうのは早いと思います。
ただ、面白いのはやはり、
AIデータセンターへの接点が一つではないこと。
半導体。
光通信。
電子部品。
そして液冷。
AIインフラ投資が続けば、複数の事業から需要を拾える可能性があります。
次に見るべきは「30%増産」のその先
今回の記事で追いかけたい数字は、
30%
だけではありません。
重要なのは、その次です。
もしAIデータセンターの液冷化がさらに進み、
今回30%増強した設備でも足りなくなる
ようなら、かなり面白くなってきます。
今後チェックしたいのは、
漏水検知システムの追加増産
海外データセンターへの採用拡大
センサー&メディカル事業の売上成長
AI液冷向け新製品
InP基板など他のAI関連事業の成長
このあたり。
「AI液冷が伸びる」という大きなテーマが、
JX金属グループの売上や利益としてどこまで見えてくるのか。
ここを決算で追いかけたいです。
🌸まろぴーまとめ
AIデータセンターを調べ始めると、
GPU
↓
電力
↓
光通信
↓
液冷
くらいまでは想像できます。
でもさらに奥へ行くと、
「液冷したら、水漏れを監視する会社まで必要になる」
ここまで来ます。
しかも今回は単なる連想ゲームではありません。
JX金属グループのタツタ電線は、AIデータセンターなどでの需要増加を背景として、実際に漏水検知システムの生産能力を約30%増強しました。 (JX-NMM)
NVIDIAのGPUが売れる。
GPUが熱くなる。
液冷設備が増える。
すると、
水漏れを検知するセンサーまで増産される。
AI投資の波、かなり遠くまで届いています。
そしてJX金属の場合は、漏水検知だけでなく、半導体材料やInP基板などにもAIデータセンターとの接点がある。
ここは今後もう少し深掘りする価値がありそうです。
「30%増産」が実際の売上・利益にどこまでつながってくるのか。
次の決算でも追いかけてみたい企業です。🌸
※本記事は2026年9月19日時点の公開情報をもとに作成しています。特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。



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