バンダイナムコと聞いて、何を思い浮かべるでしょうか。
ガンダム、ドラゴンボール、ONE PIECE、たまごっち、パックマン、鉄拳、アイドルマスター。
ゲーム会社のようにも見えるし、おもちゃ会社のようにも見える。アニメを制作し、ガンプラやカードを販売し、ゲームセンターやテーマ施設まで運営しています。
正直、事業が広すぎて、何で稼いでいる会社なのか把握しにくい企業です。
🐥まろぴーの疑問
「ガンダムもドラゴンボールもONE PIECEもバンナムなの?全部自社IPなの?」
実は、すべての作品をバンダイナムコが所有しているわけではありません。
バンダイナムコの本当の強さは、すべてのIPを自社で持っていることではなく、人気IPを玩具・ゲーム・カード・映像・施設へ横断展開し、その価値を最大化できることです。
今回は、巨大すぎて少し分かりにくいバンダイナムコの稼ぐ仕組みを整理します。
バンダイナムコは総合エンターテインメント企業
バンダイナムコホールディングスは、複数の事業会社をまとめる持株会社です。
グループの事業は、大きく4つに分けられます。
| 事業 | 主な商品・サービス |
|---|---|
| トイホビー | 玩具、ガンプラ、カード、カプセルトイ、菓子、アパレル、景品 |
| デジタル | 家庭用ゲーム、PCゲーム、スマホゲーム |
| 映像音楽 | アニメ制作、映像配信、音楽、ライブ |
| アミューズメント | ゲームセンター、体験型施設、業務用ゲーム機 |
一見すると別々の事業ですが、中心には同じキャラクターや作品があります。
例えばガンダムなら、
- アニメを制作・配信する
- 新しいモビルスーツが登場する
- ガンプラやフィギュアを発売する
- ゲームに登場させる
- カード商品を展開する
- 公式ショップやイベントで体験してもらう
という流れを、グループ内で連動させられます。
バンダイナムコは、この仕組みを「IP軸戦略」と呼んでいます。
バンナムの「IP軸戦略」とは?
IPとは、キャラクターや作品、ブランドなどの知的財産です。
バンダイナムコのIP軸戦略は、IPの世界観やファン層に合わせて、最適な商品やサービスを、最適な時期と地域で展開する考え方です。
アニメが話題になったときに玩具を発売する。
ゲームがヒットしたときにカードやイベントへ広げる。
昔の作品が再評価されたら、大人向けの高価格商品を投入する。
1つの作品を1回売って終わりにせず、複数の事業で長く収益化します。
バンダイナムコが年間に取り扱うIPは600以上、商品数は4万点以上。
そのすべてが大ヒットするわけではありませんが、多数のIPと商品カテゴリーを組み合わせることで、特定の作品やゲームに依存しすぎないポートフォリオを作っています。
ガンダム・ドラゴンボール・ONE PIECEは全部自社IP?
ここは、バンダイナムコを理解するうえで重要です。
バンダイナムコが展開するIPには、大きく分けて2つの形があります。
自社グループが深く関わるIP
ガンダム、パックマン、鉄拳、アイドルマスターなどは、バンダイナムコグループが創出や権利、制作に深く関わっています。
映像、ゲーム、商品をグループ内で連動させやすく、長期的な展開を自ら設計できることが強みです。
原作・権利元と組んで展開するIP
ドラゴンボールやONE PIECEなどには、原作者、出版社、アニメ会社などの権利元が存在します。
バンダイナムコは権利元との契約や協力のもとで、玩具、カード、ゲームなどを商品化しています。
そのため、ドラゴンボールやONE PIECEの人気がそのまますべてバンダイナムコの利益になるわけではありません。売上から製造・販売コストに加えて、契約に応じたライセンス費用なども発生します。
それでもバンダイナムコには、人気IPを世界中で商品化し、販売できる企画力、開発力、流通網があります。
権利元から見ても、作品の価値を大きくしてくれる重要なパートナーです。
🐥まろぴーのひとこと
「全部のキャラクターを持っているわけじゃない。でも、人気作品を商品にする力がめちゃくちゃ強いんだね!」
主要3IPだけで年間5,000億円超
2026年3月期における、主要IPの商品・サービス売上高は次のとおりです。
| IP | 商品・サービス売上高 |
|---|---|
| ガンダムシリーズ | 2,543億円 |
| ONE PIECE | 1,393億円 |
| DRAGON BALLシリーズ | 1,380億円 |
| 3IP合計 | 5,316億円 |
3つのIPだけで5,000億円を超えます。
ただし、この数字はIP別の商品・サービス売上高であり、そのまま営業利益になるわけではありません。
また、ガンダムと、他社の権利元が存在するONE PIECE・ドラゴンボールでは、バンダイナムコに残る利益の構造も異なる可能性があります。
それでも、ガンダム単独で年間2,500億円を超える規模は圧倒的です。
ガンダムはアニメ作品であると同時に、プラモデル、ゲーム、カード、映画、イベント、公式ショップへ広がる巨大な経済圏になっています。
実はいま、ゲームよりトイホビーが強い
バンダイナムコをゲーム会社だと思っていると、最新決算の数字は少し意外です。
2027年3月期第1四半期の業績は、売上高3,284億円、営業利益692億円。どちらも第1四半期として過去最高でした。
| 項目 | 2026年3月期1Q | 2027年3月期1Q | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 3,004億円 | 3,284億円 | +280億円 |
| 営業利益 | 519億円 | 692億円 | +173億円 |
| 純利益 | 383億円 | 511億円 | +128億円 |
これを事業別に見ると、好調をけん引したのはトイホビーです。
| 事業 | 売上高 | 前年同期比 | 営業利益 |
|---|---|---|---|
| トイホビー | 1,927億円 | +459億円 | 539億円 |
| デジタル | 909億円 | ▲168億円 | 150億円 |
| 映像音楽 | 192億円 | ▲20億円 | 13億円 |
| アミューズメント | 380億円 | +42億円 | 19億円 |
トイホビーだけで、グループ営業利益の大部分を稼いでいます。
ガンプラ、トレーディングカード、カプセルトイ、大人向け商品、たまごっちなどが好調でした。
一方、デジタル事業は前年同期に大型ゲームの発売があった反動で減収減益。映像音楽も、前年のガンダム作品による映画・配信収入の反動が出ています。
この数字を見ると、現在のバンダイナムコは単なるゲーム会社ではありません。
IPを形ある商品に変えるトイホビー企業として、非常に強い会社です。
なぜガンプラは長期間売れ続けるのか
ガンダムの大きな強みは、ファンの世代が広いことです。
初代ガンダムを見た世代には、高価格帯の精密なガンプラや完成品フィギュアを販売できます。
一方、新しいアニメやゲームを通じて、若い世代や海外ファンも獲得できます。
同じガンダムでも、
- 子ども向けの入門商品
- 一般的なガンプラ
- 大人向けの高価格商品
- カードゲーム
- スマホゲーム
- 家庭用ゲーム
- 映画・映像配信
- 公式ショップやイベント
と、ファンの年齢や熱量に応じて商品を用意できます。
さらに映像作品は、映像だけで利益を出す役割に限りません。
新しい機体やキャラクターを登場させ、ガンプラやゲームを売るための入口にもなります。
映画の興行収入だけを見ると小さく感じても、グループ全体では大きな商品展開につながる可能性があります。
これが、複数の事業を持つバンダイナムコの強みです。
ONE PIECEカードが示したカード事業の可能性
バンダイナムコでは、トレーディングカードゲームも大きく成長しています。
会社説明によると、2026年3月期のカード事業は、2024年3月期と比べて約2倍の規模まで拡大しました。
以前は国内売上の比率が高かったものの、現在は海外売上の比率が国内を上回っています。
カードは一度販売して終わる商品ではありません。
新しいカードセットを継続的に発売し、大会やイベントを開催することで、ファンが長く遊び続ける仕組みを作れます。
人気IPとゲーム性を組み合わせれば、収集目的のファンと対戦目的のファンの両方を取り込めます。
今後は「NARUTO」のカードゲームも2027年夏に世界同時発売する予定です。
ただ人気キャラクターを印刷するだけでなく、大会運営や販売店との連携まで含めて市場を育てる力が、バンダイナムコの競争力になっています。
ゲーム事業はヒットの波が大きい
デジタル事業は、バンダイナムコの重要な柱です。
「DRAGON BALL」「ONE PIECE」「アイドルマスター」「ガンダム」などのスマホゲームが継続的な収益を生み、家庭用ゲームでは「鉄拳」「ELDEN RING」「エースコンバット」などを展開しています。
ただし、家庭用ゲームは発売時期によって四半期業績が大きく変わります。
大型タイトルの発売があった前年と比較すれば、翌年は減収に見えることもあります。
さらに、ゲームは開発費が大きく、発売延期や評価の低迷によって損失が発生するリスクがあります。
2027年3月期は新作の発売が下半期に偏っているため、第1四半期のデジタル事業は前年同期比で減収減益になりました。
一方、スマホゲームの海外売上比率は前年同期の39%から46%へ上昇しています。
ゲーム単体の売上だけでなく、ゲームによってIPの海外認知を広げ、玩具やカードへ波及させられるかが重要です。
映像事業は「商品の宣伝費」ではない
バンダイナムコの映像音楽事業には、アニメ制作、映画、映像配信、音楽、ライブなどが含まれます。
映像作品自体でも収益を得ますが、グループ全体で見るとIPの世界観を広げる役割もあります。
新しいガンダム作品が公開されれば、
- 映像配信
- 劇場興行
- ガンプラ
- フィギュア
- カード
- スマホゲーム
- 家庭用ゲーム
- イベント
へ同時に展開できます。
バンダイナムコは、2029年のガンダム50周年、その先の60周年、100周年まで見据えてIP価値を高める方針です。
短期的な映像部門の利益だけでは、作品の本当の価値を測れません。
映像が別事業の売上を生み出す起点になる点まで見る必要があります。
アミューズメント施設もIPとの接点
バンダイナムコはゲームセンターや体験型施設も運営しています。
施設単体の利益率はトイホビーほど高くありませんが、ファンがIPの世界に直接触れられる場所として重要です。
公式ショップでは、作品の世界観を再現した空間で限定商品を販売できます。
オンラインで作品を知った人が施設を訪れ、施設で商品を購入し、さらにゲームや映像へ戻っていく。
バンダイナムコは、デジタルとリアルの両方でファンとの接点を持っています。
サンリオとの違いは?
サンリオも、複数のキャラクターを世界で展開する日本有数のIP企業です。
ただし、バンダイナムコとは稼ぎ方が異なります。
| 比較 | サンリオ | バンダイナムコ |
|---|---|---|
| 中心 | 自社キャラクター | 自社・他社を含む多数のIP |
| 強み | ライセンス展開 | 商品化と複数事業の連動 |
| 主な商品 | 雑貨、企業コラボ、施設 | 玩具、カード、ゲーム、映像 |
| ビジネスの特徴 | キャラクターを企業へ貸す | IPごとに最適な商品を作る |
| コスト | ライセンス中心なら軽い | 製造・開発・施設の負担あり |
サンリオは自社キャラクターの使用を企業へ許諾し、ロイヤルティを得る力が強い会社です。
バンダイナムコは、自社IPに加えて他社IPも扱い、作品ごとに玩具・ゲーム・カード・映像を組み合わせる力が強い会社です。
商品はどうやって全国の店へ届く?
バンダイナムコが企画・開発した商品を、全国の小売店などへ流通させる役割の一部を担っているのがハピネットです。
ハピネットは、バンダイナムコホールディングスが約26%を保有する持分法適用会社です。
ただしバンナム商品の専属流通会社ではなく、他社の商品も幅広く扱うエンターテインメント総合商社です。
バンダイナムコがIPを商品化する企業なら、ハピネットは各社の商品を小売店や消費者へ届ける企業。
両社は同じエンタメ市場に関わっていますが、投資先として見ると稼ぐ仕組みは大きく異なります。
ハピネットについては、別の記事で詳しく深掘りします。
バンダイナムコの強み
バンダイナムコの強みをまとめると、次のようになります。
- 年間600以上のIPを取り扱う豊富なポートフォリオ
- 年間4万点以上を展開できる商品企画・開発力
- ガンダムという巨大な自社グループIP
- 人気の他社IPを任せてもらえる実績
- 玩具・ゲーム・カード・映像・施設を連動できる
- 子どもから大人まで幅広い価格帯の商品を作れる
- 国内だけでなく海外へ展開できる販売力
- 特定のゲーム作品だけに依存しない収益構造
特に大きいのは、複数の事業を持つことが単なる「多角化」で終わっていない点です。
映像が玩具を売り、玩具がゲームへの興味を生み、ゲームが海外でIPの知名度を高める。
それぞれの事業が同じIPを中心につながっています。
注意したいリスク
一方、バンダイナムコへの投資には注意点もあります。
- 家庭用ゲームのヒット・発売時期によって業績が変動する
- 他社IPではライセンス契約や権利元との関係が重要
- 人気作品への依存
- 玩具やカードのブームが一巡する可能性
- 在庫や製造コストを抱える
- 海外売上の拡大に伴う為替・関税リスク
- 大型ゲームの開発費増加
- 多数の事業を持つため、収益構造が分かりにくい
特に現在は、ガンプラやカードを中心にトイホビー事業が非常に好調です。
この高い成長と利益率がどこまで継続するのか、現在の株価に期待がどこまで織り込まれているのかは慎重に確認する必要があります。
まろぴーのまとめ
🐥「バンナム、広すぎて分からなかったけど、全部IPでつながってた!」
バンダイナムコは、単なるゲーム会社でも、玩具会社でも、アニメ会社でもありません。
人気IPを、玩具・カード・ゲーム・映像・施設へ展開し、長期間にわたって価値を最大化する会社です。
ガンダムのようにグループが深く関わるIPもあれば、ドラゴンボールやONE PIECEのように権利元と協力して商品化するIPもあります。
すべてを自社で所有していなくても、年間600以上のIPを4万点以上の商品へ展開できること自体が大きな競争力です。
そして最新決算を見ると、現在の利益をけん引しているのはゲームではなく、ガンプラ・カード・カプセルトイなどのトイホビー事業でした。
映像を作り、ファンを増やし、商品を販売し、ゲームや施設でさらに世界観を広げる。
この循環こそが、バンダイナムコの「IP軸戦略」です。
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※本記事は公開情報をもとにした情報整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。



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