半導体、電線、データセンター――。
AI相場ではさまざまなテーマが物色されてきましたが、次に注目したいのが「サイバーセキュリティ」です。
生成AIが便利になる一方で、AIを悪用したサイバー攻撃も高度化。企業にとってセキュリティ対策は、景気が悪くなったからといって簡単に削れる費用ではなくなっています。
では、国内のサイバーセキュリティ関連株で、本当に事業の純度が高い会社はどこなのでしょうか?
今回は次の6社を比較します。
- トレンドマイクロ
- ソリトンシステムズ
- HENNGE
- GSX(グローバルセキュリティエキスパート)
- FFRIセキュリティ
- サイバーセキュリティクラウド
評価項目は各20点、合計100点満点です。
| 評価項目 | 見るポイント |
|---|---|
| セキュリティ純度 | 売上のうちセキュリティ関連が占める割合 |
| 技術力・AI対応力 | 独自技術、研究開発力、生成AI時代への対応 |
| 業績の強さ | 売上・利益の成長性、収益の安定度 |
| 今後の成長力 | 市場拡大、ストック収益、将来性 |
| 株価位置・割安度 | 成長期待が株価にどこまで織り込まれているか |
※点数は2026年9月時点の決算資料、事業内容、株価位置をもとにした、まろぴーの株ラボ独自評価です。
まずは6社の特徴を簡単に整理
トレンドマイクロ
国内を代表する世界的なセキュリティ企業です。
個人向けウイルス対策ソフトだけでなく、法人向けのクラウド、エンドポイント、ネットワークセキュリティまで幅広く展開。規模、顧客基盤、研究開発力では今回の6社で頭ひとつ抜けています。
2026年12月期は売上高3,015億円を計画しており、小型のテーマ株とは会社の規模がまったく違います。トレンドマイクロIR
弱点は、すでに世界的な大手であるため、小型株のような急成長を期待しにくいこと。株価が先に上昇した局面では、割安感も薄れます。
ソリトンシステムズ
認証、端末管理、情報漏えい対策、ゼロトラストなど、企業や自治体で必要とされるセキュリティ分野に強みを持ちます。
完全な専業ではありませんが、ITセキュリティが会社の中心事業。官公庁や自治体との相性がよく、国産セキュリティ需要の恩恵を受けやすい点が魅力です。
2026年12月期中間期は、売上高100億2,200万円で前年同期比15.1%増、営業利益17億7,700万円で同124%増と、利益が大きく伸びました。ソリトンシステムズIR
派手なAI銘柄には見えませんが、業績と株価のバランスではかなり面白い存在です。
HENNGE
主力サービスは、クラウドセキュリティサービスの「HENNGE One」。
Microsoft 365やGoogle Workspaceなどを企業が安全に利用するための、ID管理やアクセス制御を提供しています。
2026年9月期第3四半期では、HENNGE Oneが売上高の約94%を占めました。売上高は前年同期比17.1%増となり、契約企業数やARRも拡大しています。HENNGE IR
クラウド利用が増えるほど必要性が高まる、分かりやすいストック型企業。ただし、株価は成長期待を先回りしやすく、割安度では慎重な評価が必要です。
GSX
正式名称はグローバルセキュリティエキスパート。略称は「GSX」です。
セキュリティ教育、コンサルティング、脆弱性診断、人材派遣、製品導入まで、企業のセキュリティ対策を幅広く支援しています。
年間導入企業数は約3,000社、顧客リピート率は約90%。AIセキュリティ人材の育成やAIプロンプト診断、OTセキュリティにも対応しています。GSX公式・IR情報
最大の強みは、深刻なセキュリティ人材不足そのものを成長市場にできること。一方、成長期待が高いため、バリュエーションも高くなりやすい銘柄です。
FFRIセキュリティ
国産セキュリティ技術の研究開発型企業です。
未知のマルウェアを検知する技術や、政府・防衛・重要インフラ分野との関係が強く、「国策セキュリティ株」として注目されやすい会社です。
技術力とテーマ性は非常に高い一方、2027年3月期第1四半期は売上高9億700万円で前年同期比1.2%増。利益は前年同期の高い水準から反動が出ており、四半期ごとの業績変動には注意が必要です。FFRIセキュリティIR
夢は大きいけれど、株価も夢を織り込みやすい――そんな銘柄です。
サイバーセキュリティクラウド
Webサイトをサイバー攻撃から守るクラウド型WAFが主力です。
「攻撃遮断くん」に加え、AWS向けの「WafCharm」などを展開。サービス名のとおり、サイバーセキュリティの純度は非常に高い企業です。
2026年12月期中間期は売上高27億7,000万円で前年同期比14.6%増、営業利益6億1,000万円で約30%増。ARRも約52億7,000万円まで拡大しました。
「AI門番」やAIアプリケーション脆弱性診断など、生成AI時代を意識した新サービスも投入しています。サイバーセキュリティクラウドIR
成長率とテーマ性は魅力ですが、小型グロース株らしく株価変動は大きめです。
項目別ランキング
①セキュリティ事業の純度
| 順位 | 銘柄 | 点数 | 評価 |
|---|---|---|---|
| 1 | FFRIセキュリティ | 20 | 研究開発を含め、ほぼセキュリティに集中 |
| 1 | サイバーセキュリティクラウド | 20 | WAFを中心としたセキュリティ専業 |
| 3 | GSX | 19 | 教育・診断・コンサル・導入支援までセキュリティ中心 |
| 4 | HENNGE | 18 | HENNGE Oneが売上の約94% |
| 5 | ソリトンシステムズ | 17 | ITセキュリティが主力だが、映像関連事業なども保有 |
| 6 | トレンドマイクロ | 16 | 事業はセキュリティ中心だが、成熟した総合大手として評価 |
ここでは、FFRIとサイバーセキュリティクラウドが満点。
ただし、純度が高いから株価が最も上がるとは限りません。純度が高い小型株ほど、テーマ終了時の値動きも激しくなります。
②技術力・AI対応力
| 順位 | 銘柄 | 点数 | 評価 |
|---|---|---|---|
| 1 | トレンドマイクロ | 20 | 世界規模の脅威情報と研究開発基盤 |
| 2 | FFRIセキュリティ | 19 | 国産の解析技術、未知の脅威、防衛分野に強み |
| 3 | サイバーセキュリティクラウド | 18 | AI×WAF、新しいAI向けサービスを展開 |
| 4 | GSX | 17 | AI診断、AI人材教育、幅広い製品選定能力 |
| 4 | HENNGE | 17 | クラウドID・アクセス制御に強い |
| 6 | ソリトンシステムズ | 16 | 認証・ゼロトラストで実用性は高いが、AI色はやや弱い |
技術力ではトレンドマイクロが1位。
世界中から収集する脅威情報の量と研究開発体制は、小型の国内企業には簡単にまねできません。
一方、国産技術という切り口ならFFRI。AI時代のWeb防御という切り口なら、サイバーセキュリティクラウドも注目です。
③業績の強さ
| 順位 | 銘柄 | 点数 | 評価 |
|---|---|---|---|
| 1 | ソリトンシステムズ | 19 | 中間期の営業利益が前年同期比124%増 |
| 2 | トレンドマイクロ | 18 | 規模・利益・顧客基盤の安定感が強い |
| 2 | HENNGE | 18 | ARRを積み上げるストック型成長 |
| 2 | GSX | 18 | セキュリティ需要と人材不足を背景に成長 |
| 2 | サイバーセキュリティクラウド | 18 | 中間期で増収、営業利益約30%増 |
| 6 | FFRIセキュリティ | 13 | 長期成長は期待できるが、四半期業績の振れが大きい |
足元の勢いで目立つのはソリトンシステムズです。
FFRIは技術力では上位ですが、安定した業績成長という評価軸では点数を下げました。
④今後の成長力
| 順位 | 銘柄 | 点数 | 評価 |
|---|---|---|---|
| 1 | GSX | 19 | 人材不足、教育、診断、運用支援をすべて成長機会にできる |
| 1 | HENNGE | 19 | クラウド移行とゼロトラストの普及が追い風 |
| 1 | サイバーセキュリティクラウド | 19 | クラウド通信量とAI利用拡大が成長につながる |
| 4 | ソリトンシステムズ | 18 | 国産需要、自治体、認証・ゼロトラストが追い風 |
| 5 | FFRIセキュリティ | 17 | 経済安全保障と防衛分野で大化け余地 |
| 6 | トレンドマイクロ | 16 | 市場拡大の恩恵は受けるが、すでに規模が大きい |
成長力は小型・中型の3社が並びました。
GSXは「製品を売る」だけでなく、人材育成から運用まで収益化できます。
HENNGEとサイバーセキュリティクラウドは、継続課金型の売上を積み上げやすい点が強みです。
⑤株価位置・割安度
| 順位 | 銘柄 | 点数 | 評価 |
|---|---|---|---|
| 1 | ソリトンシステムズ | 19 | 業績の伸びに対して、相対的に過熱感が小さい |
| 2 | HENNGE | 14 | 成長力は高いが、期待を織り込みやすい |
| 3 | トレンドマイクロ | 13 | 安定感はあるが、直近上昇分を考慮 |
| 3 | サイバーセキュリティクラウド | 13 | 高成長だがグロース株としての割高感あり |
| 5 | GSX | 12 | 高成長を株価がかなり評価している |
| 6 | FFRIセキュリティ | 9 | 国策・防衛・AIへの期待が株価に乗りやすい |
ここではソリトンシステムズが頭ひとつ抜けました。
FFRIは「技術が弱いから低得点」なのではありません。技術力と将来性が高く評価されている分、株価の期待値も高いという判断です。
総合ランキング
| 総合順位 | 銘柄 | 純度 | 技術力 | 業績 | 成長力 | 割安度 | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | ソリトンシステムズ | 17 | 16 | 19 | 18 | 19 | 89点 |
| 2 | サイバーセキュリティクラウド | 20 | 18 | 18 | 19 | 13 | 88点 |
| 3 | トレンドマイクロ | 16 | 20 | 18 | 16 | 13 | 83点 |
| 4 | HENNGE | 18 | 17 | 18 | 19 | 14 | 86点 |
| 5 | GSX | 19 | 17 | 18 | 19 | 12 | 85点 |
| 6 | FFRIセキュリティ | 20 | 19 | 13 | 17 | 9 | 78点 |
……と、ここでまろぴーが計算表を二度見。
合計点順に正しく並べ直すと、こうなります。
| 総合順位 | 銘柄 | 合計 |
|---|---|---|
| 1位 | ソリトンシステムズ | 89点 |
| 2位 | サイバーセキュリティクラウド | 88点 |
| 3位 | HENNGE | 86点 |
| 4位 | GSX | 85点 |
| 5位 | トレンドマイクロ | 83点 |
| 6位 | FFRIセキュリティ | 78点 |
1位:ソリトンシステムズ
今回の総合1位はソリトンシステムズです。
技術力だけならトレンドマイクロやFFRI、成長力だけならGSXやHENNGEも魅力的です。
しかしソリトンは、
- セキュリティ事業の純度が高い
- 足元の利益成長が強い
- 官公庁・自治体・国産セキュリティ需要と相性がよい
- 他の人気セキュリティ株と比べて株価の過熱感が小さい
というバランスのよさを評価しました。
派手さではなく、業績と株価の位置で選んだ1位です。
2位:サイバーセキュリティクラウド
純度、成長率、AI対応力のバランスが非常に良好です。
WAFはWebサービスを運営する企業にとって欠かせない存在。生成AIによる通信量の増加が、WafCharmの利用拡大につながる可能性もあります。
ただし、小型グロース株なので値動きは軽く、期待が剥がれたときの下落も速い点には注意が必要です。
3位:HENNGE
ストック型の安定成長という点では、かなり魅力的です。
クラウド利用とID管理は切り離せません。企業がMicrosoft 365やGoogle Workspaceを利用し続ける限り、HENNGE Oneの需要も積み上がりやすい構造です。
一気に噴き上がるテーマ株というより、中期で成長を追いやすい銘柄です。
4位:GSX
成長力だけなら1位候補です。
サイバーセキュリティ人材不足という、日本企業が簡単には解決できない課題を事業機会にしています。
一方で、成長期待がすでに株価へ反映されやすいことから、総合4位としました。会社の評価が低いのではなく、買う価格が重要な銘柄です。
5位:トレンドマイクロ
会社の強さなら文句なしのトップクラスです。
ただし今回のランキングは、企業の格付けではなく「株価の伸びしろを含めた投資対象としての総合評価」。
すでに規模が大きく、直近ではサイバーセキュリティ関連として注目が集まっているため、成長力と割安度の点数を抑えました。
6位:FFRIセキュリティ
6位ですが、夢がないわけではありません。
むしろ国産技術、防衛、経済安全保障というテーマでは最も大化けしやすい銘柄の一つです。
ただし、業績の安定性と株価の期待値を考えると、100点満点の総合評価では点数を伸ばせませんでした。
「総合力で選ぶ銘柄」ではなく、「国策テーマに賭ける攻めの銘柄」という位置づけです。
まろぴーの結論
サイバーセキュリティ株は、全部同じように見えて中身がかなり違います。
- 業績と割安度のバランス:ソリトンシステムズ
- AI×クラウド防御:サイバーセキュリティクラウド
- ストック型の安定成長:HENNGE
- 人材不足を成長に変える:GSX
- 世界的な技術力と安心感:トレンドマイクロ
- 国策・防衛の大化け候補:FFRIセキュリティ
サイバーセキュリティが電線株のような長期テーマになる可能性は十分あります。
ただし、「セキュリティ」という名前だけで一斉に買うのは危険。事業内容、業績、株価の織り込み具合まで確認して選ぶ必要があります。
まろぴーは、テーマの派手さだけではなく、数字と株価の位置を見ながら次の本命を探していきます。
※本記事は特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。



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